『おかえりモネ』第1部のラストは最終回のよう 百音の心と重なる主題歌「なないろ」の歌詞

 翌朝、足早に登米へと戻って行った百音に耕治は「あの子はもう島には帰ってこないかもしれないな」「それはそれでいいな」と亜哉子に告げる。何度も描かれていた百音の帰省シーンそのものがタイトルの『おかえりモネ』を物語っていたことに気づくと同時に、あれだけ百音を溺愛していた耕治が本当にやりたいことを見つけた娘の自立を実感した瞬間でもあるのだと感じた。

 森林組合の面々から盛大に見送られる百音。伐採されたヒバの幹と一人対話するサヤカの「送らないよ」というつよがりに、百音も「大丈夫です」と笑顔を見せる。「この子いい顔になってきたでしょ?」と理解していたはずのサヤカが咄嗟に目を逸らしたのは、一抹の寂しさか、それとも家族に思いを打ち明けまた一つ成長した百音の姿にか。10分後、サヤカの頭上の空に彩雲が出ることを予測した百音に、かつての朝岡の姿を重ねる。そして、ヒバの幹の根元には次の世代が芽吹いていた。彩雲は見るといいことが起きる前触れ。サヤカの胸には「よい未来を」と願う百音がいる。彼女もまた一人ではない。

 北上川を横目に確かな足取りで一歩、一歩前へと進む百音。その表情に迷いは一切ない。主題歌「なないろ」の〈手探りで今日を歩く今日の僕が/あの日見た虹を探すこの道を/疑ってしまう時は 教えるよ/あの時の心の色〉という歌詞が百音の心情を表すとともに、彼女の決心を讃えていた。

 第10週「気象予報は誰のため?」からは、いよいよ「東京編」がスタート。人口1300万人の東京で百音はまた新たな人たちと出会っていく。筆者は先行試写で第10週を観たのだが、神野マリアンナ莉子(今田美桜)と高村沙都子(高岡早紀)の2人がとにかく強烈だ。百音とコンビを組むことになる莉子は第10週のもう一人の主人公と言ってもいい。そして、ラストに待ち受けている展開には思わず「うわー!」と悶えてしまった。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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