坂口健太郎演じる菅波先生の行動がじれったい 『おかえりモネ』サヤカに本音を言えない百音

 『おかえりモネ』(NHK総合)第9週「雨のち旅立ち」は、なんともじれったい週だ。

 「合格」の文字に百音(清原果耶)とハイタッチできず、診療所で一人喜びを爆発させる菅波(坂口健太郎)。サヤカ(夏木マリ)に気象予報士試験の結果を聞かれ「落ちた」と嘘をつく百音。第43話では、その一つひとつのほころびが塊となって百音へと返ってくる。サヤカには試験に合格しているのも、朝岡(西島秀俊)のもとで働きたいのも、全てお見通し。「バカにしないでね」とサヤカの気を悪くしてしまったのだ。

 サヤカは百音が森林組合を辞めようとしているのを責めているわけではない。試験に合格したことを隠している百音にわだかまりを抱えていた。百音が森林組合に来てもうすぐ2年。毎日同じ屋根の下で暮らす百音がサヤカにとっては頼もしい森林組合の一員としてだけでなく、掛け替えのない家族のような存在になっていたはずだ。オンエアではそこまで映し出されてはいないが、気象予報士試験の勉強をしている姿を菅波以上に見守っていたのかもしれない。

 菅波の言う通りに、サヤカは合格の文字を見て一緒に喜びたかった。そして、ポンッと素直に百音を送り出してあげたかった。4月にあるお囃子隊に百音が誘われるのを「笛や太鼓は駄目なんじゃないかしら」とサヤカが間に入っていたのは上京する百音の姿を見据えてのことだろう。

 百音はサヤカに合格したことを言い出せない理由を菅波に話し始める。

「怖くなりました。自分の夢を追って離れてしまっている間に、また大切な人がつらい目にあったら」

 2016年3月10日。明日で震災からちょうど5年。島にいなかったという過去、未知(蒔田彩珠)から言われた「お姉ちゃん、津波見てないもんね」という言葉は、今も百音の胸に突き刺さっていた。伐採したヒバの木を50年置いておける保管場所に神社が適任であることに気づいた百音だったが、北上川の氾濫により水害が起こりやすい土地であることも百音は知る。大切な存在だからこそ、自分がいなくなることが怖いのだ。

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