恒松祐里、『おかえりモネ』『全裸監督』で“覚醒”へ 「一瞬一瞬を大切に」

『全裸監督』乃木真梨子とのシンクロ

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』

――そして、びっくりしたのが『全裸監督 シーズン2』への出演でした。シーズン1も世界的に話題となった作品ですが、アダルト業界をテーマにした作品ということもあり、かなりの覚悟が必要とされる作品だったかと思います。

恒松:オファーをいただいたときは、皆さんがびっくりされたのと同じように、「なんで私なんだろう?」と自分もびっくりで。「まずは考えてください」とシーズン2の台本をいただいたのですが、読んでみたら納得する部分があったんです。それでもラブシーンがあることもあり、オファーを受けるかは最後まで迷いました。両親にも相談したのですが、普通に「いいんじゃない?」と。実は、以前もご縁がなくて出演しなかったんですけど、ラブシーンがあるかもしれないという作品の話があって。そのたびに両親に相談していて、毎回、「いいんじゃない?」って言っていたので、両親も免疫があったというか(笑)。お父さんがシーズン1を観ていたこともあり、背中を押してもらいました。それでも、両親にはいいよと言ってもらいましたが、いつか何年か後に私に新しい家族ができて、旦那さんができて、子供が生まれたりしたときに、彼らには許可を取っていないなということも思ったんです。もし、子供が生まれて、学校とかで何か言われたらどうしようとか、そういうことを考えてしまったら、また心が苦しくなってしまって。それでも……現在もコロナ禍が続く世の中で、自分の好きな仕事がいつできなくなってしまうかも分からない中で、後悔したくないという気持ちが強く出てきました。先の未来は分からない、だからこそ今できることをやりたい、その思いを確かめてオファーを受けました。

――第4話の最後、シーズン1のヒロインである黒木香(森田望智)に代わり、恒松さんが演じる乃木真梨子が村西の新しい作品への出演を抜擢されます。このときの表情が、文字通り“覚醒”という息を飲むすごみがありました。

恒松:ありがとうございます。自分では“変わった”というのは分からないですが、新しい私を見ていただけたのかなと思います。乃木真梨子という役は女性のしたたかさ、包容力、愛を体現する役だったので、その点はこれまでにない表現方法だったと思います。

――村西とおるを演じる山田孝之さんをはじめ、個性的な男性たちが揃っている作品ではありますが、それ以上に女性陣の強さが印象に残りました。伊藤沙莉さんとは映画『タイトル、拒絶』で、森田望智さんとは『おかえりモネ』でと共演が続いています。

恒松:『タイトル、拒絶』は撮影期間がすごい短かったので、本作でまた伊藤沙莉ちゃんと仲を深めることができたのはすごくうれしかったです。森田さんとは、お話はさせていただいていたんですが、役柄上、黒木に代わる立ち位置になるので、撮影中はどうしても意識してしまう部分もありました。シーズン1の森田さんのお芝居が素晴らしかったので、シーズン2で乃木真梨子として対峙できるのかという大きなプレッシャーもありました。ただ、そのプレッシャーは劇中で乃木が感じていた黒木香を超えられるのか、村西の隣にいる人間としてふさわしいのかという葛藤と同じで。その点では乃木と私自身がシンクロするような部分も多かったです。

――キャスト、スタッフ陣の名前を眺めても、強者揃いで、途中から参加するのは大変だったと思います。

恒松:あんなに濃い味付けのキャラクターたちがいる中で、どうやって存在したらいいのか、最初はわからなかったんです。自分の中で掴めたと思えたのは、乃木のイメージカラーが「白」ということでした。純粋でピュアで、何も着飾っていないのが乃木のカラー。それなら何かをしようと思うのではなくて、ただあるがままにこの現場にいて、お芝居をすればいいんだと。だから、乃木と自分自身が本当に重なっていったんだなと思います。

――劇中、玉山鉄二さん演じる川田研二の「誰もが村西とおるに魅了されてしまう」というセリフがあります。村西とおるを演じる山田孝之さん自身にも繋がる言葉のような気がしますが、恒松さんは2人の魅力はどんなところにあると感じますか?

恒松:山田さんにも村西にも共通するのは、生きるパワーの強さじゃないでしょうか。人って、どこかでブレーキをかけちゃうところがあると思うんですけど、そのブレーキを離すべきときに離せる人というのが、あの2人の共通点なのかなと思います。周りが思わず振り回されてしまう、振り回されたくなるような人間的魅力とパワーが備わっているのかなって。

――そして、80年代~90年代の今とは違うヘアメイク、衣装もとても似合っていました。

恒松:うれしいです! 写真集『月刊 恒松祐里 優』でも、80年代風のショットがあるんです。実は『全裸監督』のあとにも、80年代を舞台とした作品がありまして、1年で3回もこの時代の髪型になっているです。似合っているからなのか、自然に求められているんですかね(笑)。乃木は元々は化粧品の美容部員という設定で、ヘアメイクにもすごくぬかりがないんです。でも、村西に見出されて、「君はそのままが美しいんだ」と声をかけてもらい、どんどんメイクが薄くなっていく。この移り変わりは本作のちょっとした見どころのひとつです。また、この時代の女性はメイクに本当に時間をかけるんですね。髪の毛のセット、リップも筆で塗って、すごく細かく丁寧にお化粧をしていく。今はすっぴん風、楽ちんメイクなどが流行っていますけど、この時代の女性たちの徹底した美へのこだわりは格好いいなと強く感じました。

※高田彪我の高は正式には「はしごだか」

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』
Netflixにて全世界独占配信中
総監督:武正晴
監督:後藤孝太郎
出演:山田孝之、満島真之介、玉山鉄二、森田望智、恒松祐里、柄本時生、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、渡辺大知、MEGUMI、西内まりや、笠松将、増田有華、吉田栄作、伊原剛志、宮沢りえ、石橋蓮司、室井滋、小雪、ピエール瀧、リリー・フランキー、國村隼
原作:本橋信宏『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版・新潮文庫)
脚本:山田能龍、小寺和久
プロデューサー:山本晃久
制作:C&Iエンタテインメント
エクゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆(Netflix コンテンツ・アクイジション部門 ディレクター)
企画・製作:Netflix
Netflix作品ページ:https://www.netflix.com/全裸監督

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<応募締切>
7月29日(木)

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