『彼女はキレイだった』中島健人の“ケンティーらしさ”全開! 韓ドラファンに刺さる演出も

 『梨泰院クラス』のパク・ソジュンと『キルミー・ヒルミー』のファン・ジョンウムが共演した2015年製作の同名韓国ドラマを、Sexy Zoneの中島健人と、昨年の春以降に主演/ヒロイン級の作品が相次いでいる小芝風花でリメイクした『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)。7月6日に放送された第1話を観る限り、これは大きなアレンジを加えることなく真正面からオリジナルをリメイクする作品になるのだろうか。もちろんオリジナルは各1時間の全16話と、日本のドラマ枠と比較すれば倍ほどの長さがある。それだけに第1話から、とんとん拍子にオリジナルの2話分のストーリーが進んでいく。ラブコメというジャンルに必要な“テンポの良さ”に関しては、単純計算でもオリジナル以上のものとなるのかもしれない。

 28歳の誕生日にアルバイトをクビになってしまった愛(小芝風花)のもとに、アメリカへ引っ越してしまった初恋相手の宗介(中島健人)から「帰国するので会いたい」というメールが届く。しかしいざ待ち合わせ場所に現れた宗介は、子供の頃の冴えない姿から洗練された男性へと激変を遂げていた。一方でかつては美少女だった愛は、宗介が引っ越して行った直後に父親の会社が倒産し貧乏生活を余儀なくされ、すっかりダサい見た目に。宗介から幻滅されることを恐れた愛は、親友の梨沙(佐久間由衣)に身代わりを頼むことに。そんな矢先、大手出版社の総務部に採用された愛は、ひょんなことからファッション誌「ザ・モスト」の編集部で働くことに。するとそこに、副編集長として宗介が現れるのである。

 前述の通り、この第1話の流れはいたってオリジナルに忠実だ。それはストーリーに限らず、宗介と愛をつないでいたジグソーパズルが“のぞくお姉さん”ことオーギュスト・ルノーワルの「田舎のダンス」であるということや、オリジナルにおけるチェ・シウォンの役回りである樋口(赤楚衛二)が愛を見てマイケル・ジャクソンだと呟く小ネタに至るまで徹底されている。その反面、宗介が梨沙に贈る傘のデザインが違っていたり、梨沙の職業がレストランのマネージャーになっているという変化もあり、その辺りはいくらかのご都合が反映されていても作品に大きな影響はあるまい。

 とりわけ興味深い脚色点は、回想とエレベーターのシーンでイヤホンから流れる音楽がパッヘルベルの「カノン」だったことだ。オリジナルが韓国で放送された際にはカーペンターズの「Close to You」が使われていたが、それは後にNetflixなどの配信版では他の楽曲に差し替えになっていた。より耳なじみがよく、それでいていかにも落ち着きそうな選曲もさることながら、ある種の“初恋探し”の物語に「カノン」が流れるとなれば、これはクァク・ジェヨン監督の『ラブストーリー』に通じるではないか。あえてねらったのか、はたまた偶然かはわからないが、これはオリジナルファン以上に韓国のラブストーリー全般のファンに刺さるにくい演出だ。

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