『犬は歌わない』モスクワの犬たち追うメイキング映像公開 古川日出男ら著名人コメントも

 公開中の映画『犬は歌わない』のメイキング映像が公開された。

 本作は、ロカルノ国際映画祭で2部門受賞を果たしたドキュメンタリー映画。宇宙開発、エゴ、理不尽な暴力、犬を取り巻くこの社会を、ソ連の宇宙開発計画のアーカイブと地上の犬目線で撮影された映像によって描き出す。

 1950年代、東西冷戦の時代。ソビエト連邦は宇宙開発に向けて様々な実験を繰り返していた。その中の一つがスペース・ドッグ計画。世界初の“宇宙飛行犬”として飛び立ったライカは、かつてモスクワの街角を縄張りにする野良犬だった。宇宙開発に借り出された彼女は宇宙空間に出た初の生物であり、初の犠牲者となった。時は過ぎ、モスクワの犬たちは今日も苛酷な現実を生き抜いている。そして街にはこんな都市伝説が生まれていた。ライカは霊として地球に戻り、彼女の子孫たちとともに街角をさまよっている。

映画『犬は歌わない』メイキング映像

 公開されたメイキング映像では、犬の目線から描く本作の撮影風景が明らかに。犬たちを追いながら、モスクワの街角を昼夜問わず駆け巡った監督やスタッフの姿が捉えられている。

 また、本作を鑑賞した小説家・古川日出男ら著名人からコメントも到着した。

コメント

古川日出男(小説家)

野良犬が大気圏外に出る。宇宙犬がストリートに生きる。
そして交錯する60年以上前のモスクワと現代のあなた。
あなたは犬か? あなたは野生か?

中沢新一(人類学者)

野良犬にとって地上の生は過酷だが、宇宙犬たちにとっても宇宙空間に出ていくのはさらに過酷だった。ロシアでは過酷さの中から信じられないほどに美しいポエジーが生まれてきた。
Space Dogsは神話の美しさを湛えている。

沖メイ(ミュージシャン)

地球があるということ。
そこに生命があるということ。
そのなかに、私たち人間がいるということ。
物事の多様性、そして生き方の多様性をフィルターとし、事実から目を背けないこと。
それは善悪をジャッジすることではなく、ただ真摯に実直に命を生きたいと願う本能なのだと、この映画を見て感じました。

■公開情報
『犬は歌わない』
東京・シアター・イメージフォーラムにて公開中
大阪・シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、名古屋・シネマテーク、横浜・ジャックアンドベティほか全国順次公開中
監督・プロデューサー:エルザ・クレムザー&レヴィン・ペーター
ナレーション:アレクセイ・セレブリャコフ
撮影監督:ユヌス・ロイ・イメル
音楽:ピーター・サイモン&ジョナサン・ショア
編集:ヤン・ソルダット、ステファン・ベヒャンガー
後援:オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム
配給:ムーリンプロダクション
2019年/オーストリア・ドイツ/DCP/91min/カラー・モノクロ/DOLBY SRD 5.1
(c)Raumzeitfilm
公式サイト:http://moolin-production.co.jp/spacedogs/
公式Twitter:@SpaceDogsJP
公式Facebook:https://www.facebook.com/SpaceDogsJP

関連記事