シーズン1が放送開始された2020年3月、それ以前と以降で全く異なる世界になってしまった中で、『賢い医師生活』が視聴者にもたらした「シンパシー（共感）」は、突如パンデミックに放り込まれた人々の安らぎとなっていった。ドラマ開始時に初めて出会った主演の5人もバンドの練習や撮影を経て本物の仲間になっていき、その姿をシーズン2までの1年間見守った視聴者の中にも愛着が育っていった。放送開始に先駆けた記者会見でシン・ウォンホ監督は、「新シーズンの最大の違いは“時間”です。昨シーズンから実際に1年が経過しているので、登場人物たちが年を重ねたことで生じた深みのある変化がありました。時間の経過に伴い、彼らの人生にも変化があるだろうし、周りの物事に対する認識も変化します」と語る。シーズン1制作時に「ドラマを通じて僕らを友達のように感じてもらえたら嬉しい」と言っていた役者たちは、「シーズン1が終わった後もいつも一緒にいるような気がして、お互いの目を見ただけで何を求めているかがわかるくらい親しくなった」（チョ・ジョンソク）、「シーズン1で5人のキャラクターを紹介し、シーズン2では僕らの間に芽生えたケミストリーと、より親密な友情をお届けしたい」（チョン・ギョンホ）と語るように、実際にも友情を育んでいたようだ。その結実は、バンド演奏シーンや、より深くなっていく彼らの関係に現れてくるだろう。

　『賢い医師生活』の40代の医師たちは、目の前の任務に懸命に向かい合い、友情と愛情を育み、賢明な人間になれるよう最善を尽くす。不惑の年を迎えて後進を指導する立場になっても、悩み、ぶつかり、傷つく。それでも、「決して後悔しないため」の選択をもって日々を楽しむことに全力投球する。視聴者はそんな彼らの言動に背筋が伸び、そして本当の友達のように誇らしい気持ちになる。シーズン2もきっと、彼らがバンドで演奏する珠玉の韓国ポップスにのせて、かけがえのない青春を思い出させる美しい絵のように、わたしたちの心に残っていくことだろう。

参考

・https://www.koreatimes.co.kr/www/art/2021/06/688_310345.html
・https://www.soompi.com/article/1473513wpp/hospital-playlist-director-chooses-3-keywords-to-describe-what-to-expect-in-new-season

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

■配信情報
『賢い医師生活』
Netflixにて配信中
写真はtvN公式サイトより