『おちょやん』杉咲花の“千秋楽”に拍手! “どん底”を描いた先にあった人生の希望
最終週で描かれているのは、これまで関わるのを避けていた舞台に再び向き合う千代の姿。また一歩前に踏み出していく千代を見て、春子は看護婦になるという夢を決心する。春子は千代にとってもお母ちゃんとして成長するための大切な存在であった。そんな2人が未来を思い、手を繋いで歩いていく姿で物語自体が幕を閉じるのは、これ以上ないハッピーエンドだったのではないだろうか。
さらにサプライズだったのは、サエ(三戸なつめ)、テルヲ(トータス松本)、ヨシヲ(倉悠貴)も千代の舞台をあの世から観劇しに来ていたこと。テルヲとヨシヲは相変わらず啀み合っていたが、最愛のお母ちゃんに舞台を見せられた。これで千代の心残りもないだろう。きっと、栗子もどこかの席で見守っていたはず。綺麗な花籠を膝の上にちょこんと乗せて。
「生きるっちゅうのは、ほんまにしんどうて、フフッ……おもろいなぁ!」
劇中のこのセリフはまさに『おちょやん』の泣き笑いのエピソードを表すセリフだ。千代だけでなく、この世で生きる誰もがつらい思いを抱えながら日々生きている。『おちょやん』を観ながら、千代のように強く生きられたら、と思ったのはきっと筆者だけではないだろう。視聴者のお母ちゃんであり続けた千代は春子だけでなく、我々の気持ちも半年間、前に推し進めてくれていた。「今日もええ天気や」ーーこんな晴れた日は、そう自分に言い聞かせることで、また1日を頑張れる気がする。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/