学園ドラマからヤンキーが消えた? 『ドラゴン桜』が象徴する“ワル”の変化

 こうした中で『ドラゴン桜』は令和のワルをどう描いたか。それは、「自らが仕組んで教師に等しい立場の水野に頭を刈らせ、それをスマホでこっそり撮影して陥れる」という、デジタルネイティブならではの姿だった。だが、水野を陥れた不良生徒である小橋(西山潤)と岩井(西垣匠)は第2話ではあっさりと桜木のサポートにまわり、今やすっかり視聴者にとっての人気キャラ。身なりに多少の不良っぽさはあれど、改心も早くどこか可愛げがあるところも昔のワルとは大分異なる。

 そんな小橋らとは対照的に、万引き癖のある岩崎楓(平手友梨奈)や桜木を陥れた黒幕の瀬戸輝(高橋海人)の問題は内に抱えられたものゆえに、ことはより深刻だろう。髪型や化粧などの自己表現で内包する問題を表に出しているかつてのヤンキーに相対して、問題はより複雑でわかりにくいのが現代を象徴しているように感じた。今の高校生の問題を生々しく炙り出しながら、令和版にアップデートされた「受験テクニック」で生徒を導く新生『ドラゴン桜』で、桜木と生徒たちの攻防に注目したい。

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。
※鶴ヶ崎好昭の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、毎週日曜21:00~放送
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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