『青天を衝け』吉沢亮が体現した栄一の“決断の瞬間” 序盤の重要回に藤原季節も登場

 大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)の主演を務める吉沢亮は、自身のTwitterに「個人的に11回、12回は栄一にとってかなり重要な回」と綴っている。そんな吉沢の言葉通りに、第11回「横濱焼き討ち計画」では栄一(吉沢亮)が家を出て天下のために働きたいと、市郎右衛門(小林薫)に「勘当してくれ」と頼むこととなる。幼い頃から必死に藍玉づくりを父から学び、渋沢家を継ぐと公言してきた栄一がだ。

 惇忠(田辺誠一)や喜作(高良健吾)らと企てた、横浜の外国人居留地を焼き討ちする計画。目的は攘夷遂行と封建打破。天下の耳目を驚かす大騒動を起こし、世間を目覚めさすという考えからだ。栄一は「死の覚悟をもってすれば、きっと爪痕を残せる」と宣言。惇忠の「幕府に異を唱え、兵を挙げれば、俺たちは二度とこの地には戻れねぇ」という言葉も栄一に勘当の覚悟を後押しさせた。

 生まれたばかりの長男・市太郎が麻疹で亡くなり、長女・うたが生まれた頃には栄一は計画の遂行を決心していた。あんなにも嬉しそうにしていた市太郎の出産とは違って、うたの誕生には戸惑いの色がその栄一の表情に強く滲んでいる。

「俺一人満足でも、この家の商いがうまくいっても、この世の中みぃんなが幸せでなかったら俺はうれしいとは思えねぇ。みんなが幸せなのが一番なんだい」

 必死に自身を止めるゑい(和久井映見)に向けたこの栄一の言葉は、第1話でゑいが幼き栄一に向けた「あんたが嬉しいだけじゃなくて、みんなが嬉しいのが一番なんだで」という教えを彷彿とさせる。

 この第11話で何度も出てくるのは「志」「大義」といった言葉だ。藤田東湖(渡辺いっけい)の息子・小四郎(藤原季節)は、江戸の酒場で出会った栄一に、ただ酒をせびる不甲斐なさを諌められ発奮する。亡き父を思い「俺は父をも超える大義をなしてみせる!」と。栄一にとっての志とはすっかり淀んで沈みかけているこの国に一石を投じること。武具商・梅田慎之介(渡辺徹)をも納得させる武士にも負けない志が栄一には備わっていた。

 大義とは、人間として踏み行うべき最も大切な道を指す。考えを曲げず、一方的な理不尽にも承服せずに一人闘ってきた強情っぱりのいつもそばにいたのは妻の千代(橋本愛)だった。栄一は日本を己の家のように、一家のように大事に思っている。そのことを千代は「一つだけじゃない。どっちも……どっちもに栄一さんの道はあるんです」と一緒になって市郎右衛門へと頭を下げるのだった。