アニメ・オブ・ザ・イヤー受賞の『呪術廻戦』 海外アニメファンはどう見ている?

 先日最終回を迎えた、アニメ『呪術廻戦』。主人公の虎杖悠仁が呪物を食べたことをきっかけに呪いの王・両面宿儺の器となり、呪術高専に通いながら呪術師を志すというダーク・ファンタジー作品だ。2020年10月から3月26日まで放送され、これをきっかけに原作コミックの売上も増加。2019年11月時点では累計250万部だったものが、アニメ開始直後に1000万部、2021年1月には2000万部、2月初頭には3000万部、3月31日には累計発行部数4000万部を突破と、大ヒットを記録している。

 アニメ放送に合わせて各コンビニエンスストアではコラボレーションが続き、アイテムはすぐに完売するなど『鬼滅の刃』のような社会現象を巻き起こしつつある本作。その人気っぷりは国内にとどまらない。200以上の国や地域でアニメやマンガなど体験を提供するクランチロールがベストアニメを表彰する「クランチロール・アニメアワード2021」受賞作品を発表。そのアニメ・オブ・ザ・イヤーに、なんと『呪術廻戦』が選ばれたのだ。Netflixでテレビ放送直後に配信されていることもあり、海外の視聴者もタイムラグなく日本と同時に楽しめているという点が大きい。彼らはどんなところに注目してみているのだろう。純粋な、一ファンとしてのYouTubeのリアクション動画やレビューコメントを元に、その反応を見ていこう。

他のジャンプ作品との比較、少年漫画作品としてのアップデート

 

海外のファンは、もとよりアニメのリテラシーが高いのが特徴的である。吹き替えがほとんど存在せず、Netflixなどのストリーミングサービスが普及する前は日本版のDVDを海の向こうから購入していたという人も少なくなく、まさに“マニア”な領域だったからだ。しかし、ここ最近は配信などによってより多くの層に親しまれやすくなっている。そのなかで、やはり少年漫画作品は圧倒的人気を誇っていた。中でも人気と認知度の高い作品が『ドラゴンボール』『幽遊白書』『ジョジョの奇妙な冒険』『NARUTO -ナルト-』『進撃の巨人』『僕のヒーローアカデミア』『BLEACH』、そして『鬼滅の刃』など。なので、必然的に『呪術廻戦』を観るにあたって、これまでのヒット少年漫画作品と照らし合わせることは少なからずある。そこは海外も日本も関係なく、アニメファンだからのことだろう。

 そんな中『呪術廻戦』の主人公・虎杖悠仁が注目を浴びている。VICEなどの多くの媒体にて執筆しているアメリカ、オークランドに在住のライターChingy Neaが米ポリゴンに寄稿したレビュー(参照:Jujutsu Kaisen questions the very ideals of shōnen anime|Polygon)では、彼はナルトのような天然さを持ち、信じられないほど自己犠牲型な点は『ヒロアカ』の緑谷出久、スーパーナチュラル的な職業やリーダー的な人格は『幽遊白書』の浦飯幽助や『BLEACH』の黒崎一護に例えられている。虎杖もまた、これまでに登場してきた少年漫画の主人公らしい主人公だと。しかし、代表的な少年漫画の主人公は周りの世界を彼の力で変えていくのに対し、『呪術廻戦』ではそれがほぼ不可能であることに新しさがあると、レビュー内で指摘されている。その設定とトーン、21世紀の人類の善と悪の両面が揺るぎなく描かれている点で、非常に現代的な内容であり、その全てが虎杖に影響を与えている。幽霊やモンスターではなく、恥や憎しみ、恐れ、悲しみといった“人間”が作り出したネガティヴな感情である“呪い”。その人類の副産物をめぐった本作は非常に人間的であると。そして、人々がネガティヴな感情が一生なくならないように思えて、それを克服し、それから生き延びることができるというメッセージ性を持っている。そういった点で21世紀の現代社会に重みをおいた作品として、一歩抜きん出ていると同記事内で書かれている。

 こういった本作のテーマ性に関しては日本に限らず、世界中に共通するものだ。たとえ術式のルールや細かい設定などがわかりにくくても、負の感情を倒していく彼らの物語は誰にとっても理解しやすい点が海外でも人気を博す理由の一つなのかもしれない。

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