実写版『モンハン』への布石 『バイオハザード』は壮大なホームビデオのはじまりだった

 その後、ミラは撮影中も大好きな作品で主演に挑むということで、1カット以外のアクションシーンをスタントなしで全て自ら演じた。トム・クルーズばりの張り切り具合で、実際のアザを映画にも生かした彼女をアンダーソン側が抑えるのに必死だったという。実際、本作をきっかけにミラ・ジョヴォビッチのアクション女優としての側面が開花されたことは間違いない。

 そして、恐らくそんな何事にも全力で取り組む彼女に、監督もいつの間にか惹かれたのだろう。2003年にはアンダーソンがミラにプロポーズ。その後、付き合ったり別れたりを繰り返し4年の交際を経て、2007年にオフィシャルな関係になった。その婚約中に第一子の娘エヴァー・アンダーソンを出産。そして何を隠そう、このエヴァーちゃん(当時9歳)がシリーズ完結作『バイオハザード:ファイナル』にレッド・クイーン役として女優デビューを果たしているのだ! お父さんお母さんの出会いのきっかけであり、ともに絆とキャリアを育んだ二人の愛の結晶といっても過言ではない『バイオハザード』シリーズ。ラストを締め括るのは、同じく彼らの“愛の結晶”というわけ。

 ちなみに長女エヴァーは、現在製作中の『ピーター・パン』の実写映画『ピーター・パン&ウェンディ(原題)』でウェンディ役に抜擢されるなど女優としての活躍が今後期待されている。

ポール・W・S・アンダーソン (c)CONSTANTIN FILM Produktion Services GmbH

 さて、そんなアンダーソンとミラの最新作『モンスターハンター』が3月26日に公開を控えている。二人は『バイオハザード』以外にも、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』で同じく監督×主演女優で映画作りをしている。もちろん、アンダーソンの奥さん愛が強いのは明白だし、ジャン=リュック・ゴダールにとってのアンナ・カリーナが、彼にとってのミラだとも言える。しかしシンプルに、長い歳月をかけてともに映画を作り上げてきたことで、監督から求められるアクションを実現できる関係性であったり、女優を最も美しく見せて演技を引き出す才だったり、二人は純粋にクリエイティブ・パートナーとして阿吽の呼吸で仕事をしているのだ。

『モンスターハンター』(c)CONSTANTIN FILM Produktion Services GmbH

 まさに公私ともにベストカップルであり、彼らの生み出す映画は世界最強のホームビデオといっても過言ではない。『バイオハザード』を、そんな二人の愛の序章という見方でみると、また違う面白さがあるのかもしれない。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。バイオは廊下の両側からクリムゾンヘッドが来るところからのリスタートなので詰んだまま10年近く放置している。InstagramTwitter

■放送情報
『バイオハザード』
日本テレビ系にて、3月26日(金)21:00〜22:54放送
監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
製作総指揮:ロバート・クルツァー、ヴィクター・ハディダ、ダニエル・S・クレツキー、岡本吉起
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ミシェル・ロドリゲス、エリック・メビウス、ジェームズ・ピュアフォイ、マーティン・クルーズ、コリン・サーモン
(c)2002 Constantin Film Produktion GmbH. All Rights Reserved.

■公開情報
『モンスターハンター』
3月26日(金)全国公開
監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、トニー・ジャー、ティップ・“T.I.”・ハリス、ミーガン・グッド、ディエゴ・ボネータ、山崎紘菜、ロン・パールマン
原作:『モンスターハンター』(カプコン)
製作:コンスタンティン・フィルム、テンセント・ピクチャーズ、東宝
配給:東宝=東和ピクチャーズ共同配給
(c)CONSTANTIN FILM Produktion Services GmbH
公式サイト:monsterhunter-movie.jp

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