韓国ドラマの三大要素は「愛」「運命」「大丈夫」? “名前とタイトル”の面白さを紐解く

 もう10年以上、ほぼ毎日韓国ドラマを観ている。もともと脚本を勉強している過程で韓国ドラマを知り、韓国語を学び→韓日字幕講座に通い→韓国ドラマをリスニングし脚本に起こす。という韓国ドラマ研究を長らく楽しんできた。

 それにしてもコロナ禍の去年から今年にかけて韓国カルチャーの流れ込む勢いは凄まじい。昨年春『愛の不時着』『梨泰院クラス』の着陸に始まったNetflixのドラマ。その直前に『パラサイト 半地下の家族』がオスカーを受賞し、韓国映画というものが広く一般に撒かれていたのもあるだろう。

 オーディション番組、サブリミナル効果のようなNiziU人気。TWICE、NCTをはじめ人気アイドルグループに日本人がいることも普通になった。若い世代にはもう境はないんじゃないかというほどだ。

 そんな私たちにとって意外と大きいのが名前に対する感覚の違いではないだろうか。韓国ドラマを見始めた頃、名前にまつわるシーンで違和感を覚えることが多かった。韓国は苗字が少ないこともあり、私たち日本人のように苗字で呼び合うなんてことはまずない。基本「フルネーム+さん」呼び。それがどんな風に変化していくか(=どんな風にスマホに登録されていくか)という関係性の変化は、そのままドラマの展開になる。フルネームがタイトルに入っている作品も多い。

 『私の名前はキム・サムスン』は名前が主役の物語だ。初めてまともに観た韓国ドラマだということもあるが2005年当時のソウル、名前に集約された大きなコンプレックスを持つヒロインが、長年の夢であった改名をしようとするストーリーが衝撃的だった。

 まだ初々しいヒョンビン演じる年下の彼と、最悪の関係からスタートするラブコメの王道でありながら、ずっと違和感を放っていた“改名”がとうとう実現するところまできたヒロインに、ヒョンビンが「君の名前が好きだ」となる時にはもう、移入を通り越しほとんど(観ている)私がキム・サムスンになっている。

 ほかにも『力の強い女 ト・ボンスン』『また!?オ・ヘヨン 〜僕が愛した未来〜』などフルネームがタイトルに入った作品は、どれも、ん? と引き返して見てしまう。

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