『きみセカ』竹内涼真と中条あやみの“最悪の再会” 二本の緊張の糸がついに一本に

 ゴーレムウイルスの研究者・首藤は、初登場時から確実に何か裏のありそうな存在であったが、案の定だ。“響の死”に放心状態となっていた来美の弱味につけ込んで、マインドコントロールまがいのことを施し、彼女の正義感に揺さぶりをかけた。その結果、響と来美を最悪の状況に導いてしまったのだ。首藤は響たちがいま直面している事態を引き起こした張本人であり、彼らの“悲劇的な再会”の主犯はこの男だともいえるだろう。

 これまで首藤の脇に立ってきたジアンは、日韓新興感染症対策機構の研究者。響の仲間であったミンジュン(キム・ジェヒョン)の姉であり、来美に横須賀駐屯地で生きる“きっかけ”を与えた人物でもある。彼女は首藤とはまた違うかたちで、二本のストーリーラインの緊張感がときに重なり合う、その架け橋をつくり続けてきた一人だ。

 自衛官という職務に忠実であるものの、これまた違うかたちで緊張感のキープに貢献してきたのが桑田と沢の二人である。とはいえ、このふたりはバディ関係にありながら、本作における立ち位置は異なる。彼らは同じ自衛官だが、上下関係があるのだ。冷静位沈着で常に的確な判断を下す桑田は暴走気味な首藤に違和感を抱いていおり、理性よりも感情が先走る沢の若さは少しばかり危険。精神的に成長していく部下と、それを促す上司の物語も生まれそうなものだが、そんな余裕など存在しない世界だ。“テロリスト”と目される響たちとどう対峙していくのか見ものである。

 悲劇的な再会となり、ようやく一つに繋がった響と来美の物語。最悪な再会の仕方によって、緊張感は高まるどころか最高潮に達している。このピンと張り詰めた緊張の糸の先は、いったいどこへと結びつくいているのだろうか……。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『君と世界が終わる日に』
Season1(全10話):日本テレビ系にて毎週日曜22:30〜放送
Season2(全6話):Huluにて、3月配信開始
出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松将、飯豊まりえ、大谷亮平、笹野高史、マキタスポーツ、安藤玉恵、横溝菜帆、鈴之助、キム・ジェヒョン、滝藤賢一
脚本:池田奈津子
音楽:Slavomir Kowalewski A-bee
主題歌:菅田将暉「星を仰ぐ」(Sony Music Labels Inc.)
制作:福士睦、長澤一史
チーフプロデューサー:加藤正俊、茶ノ前香
プロデューサー:鈴木亜希乃、鬼頭直孝、伊藤裕史
協力プロデューサー:白石香織
演出:菅原伸太郎、中茎強、久保田充
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ、HJ Holdings,Inc.
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kimiseka/
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