TBSスター育成プロジェクトの狙いとは テレビ局主導の“本気のドラマ作り”の一環に?

新人が選ばれる伝統が残る特撮、映画の世界

 そんな中、オーディションで新人が選ばれる伝統が今も残っているものといえば、テレビ朝日の『仮面ライダー』『スーパー戦隊』シリーズだろう。記者発表の際には毎回、どんな人がヒーローに選ばれたかと、ヒーローのモチーフ(動植物系、爬虫類系、昆虫類系、恐竜、幻獣、魔法、科学など)を常にチェックするようにしている人は多数いることと思う。とはいえ、今は特撮系出身者が朝ドラに出演し、そこでブレイクする流れもできていて、特別感は少々薄らいでいるかもしれない。

『初恋』(c)2020「初恋」製作委員会

 また、オーディションで新人が抜擢されるケースが今も健在なのは、映画の世界だろう。窪田正孝主演の『初恋』で約3000人の中から抜擢された小西桜子は、芝居を始めて3カ月で三池崇史監督に見出された新人女優。ドラマ『猫』(テレビ東京系)での好演も記憶に新しい。また、『ソワレ』の芋生悠、『MOTHER マザー』の奥平大兼、『ミッドナイトスワン』の服部樹咲、『蜂蜜と遠雷』の鈴鹿央士、『町田くんの世界』の細田佳央太、関水渚など、オーディションでの大抜擢で注目され、順調にキャリアを積んでいる者もいる。

 では、映画では今も多数あるオーディションでの抜擢が、なぜドラマでは特撮系を除いて稀有になっているのか。

 それは、作り手と演じ手の力関係によるところがおそらく大きい。映画の場合、当然ながら監督が主導権を握り、脚本ありきで役柄に合う役者を選ぶところからスタートする。それに対し、テレビドラマの場合は、かつてはテレビ局のプロデューサーの力が大きかったものの、次第にテレビ局より大手芸能プロダクションの力が強くなってしまったことで、「まず芸能プロダクションありきのキャスティング」から始まることが多い。そして、それが「テレビドラマがつまらなくなった」といわれる理由だと指摘する声も多いのだ。

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