2020年の年間ベスト企画

年末企画:平井伊都子の「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 韓国、ドイツなどが底力を発揮

 スウェーデン制作の『ラブ&アナーキー』は、スティーブ・カレル主演の米国版『ザ・オフィス』を老舗出版社に置き換えたようなクリンジ・コメディ。シニカルなメタ視点は、さすがリューベン・オストルンドを生んだ国のもの。2020年は、アイルランドの高校生カップルを描く『ふつうの人々』のような、世界各国の多感な世代を描くドラマに秀作が多かった。『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』、そしてメキシコの『コントロールZ』や韓国の『人間レッスン』『保健教師アン・ウニョン』、イギリスの『セックス・エデュケーション』、日本未配信だが30代の日系人女優がティーンだった頃の自身を演じる(そしてかなり笑える)『PEN15』(Hulu)なども。『13の理由』から連なる、Netflixが牽引し提供するヤング・アダルト作品群は、この世代の数年後、数十年後に確実に変化をもたらすだろう。多様性、包摂性とはこうして培われていくものだ。わずか11カ月前にポン・ジュノが受賞スピーチで述べた「わずか1インチの字幕というバリアを乗り越えれば、素晴らしき映画の世界が広がる」をドラマの世界でも享受した1年だった。

『ラブ&アナーキー』Ulrika Malm/Netflix

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

■配信情報
『秘密の森』
Netflixにて独占配信中
作品ページ:https://www.netflix.com/jp/title/80187302

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