『おちょやん』で杉咲花と奮闘 土居志央梨、仁村紗和、古谷ちさら“お茶子”女優に注目

 現在放送中の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)。9歳のときに、道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出されたヒロイン・竹井千代(毎田暖乃/杉咲花)は、華やかな芝居の世界を目にし、女優を志すようになる。後に上方の大女優となっていく千代の原点は、道頓堀で“おちょやん”として働く8年間にある。

 本記事では、千代の奉公先である芝居茶屋「岡安」と、「岡安」とライバル関係にある芝居茶屋「福富」で働くお茶子たちに注目。口が達者で機転がきく千代とは異なる、彼女たちの魅力を紹介したい。

「岡安」のお茶子たち

怒ると少しこわいが、頼り甲斐のある千代の先輩・富士子(土居志央梨)

 第11回で「福富」のお茶子たちが千代をからかった時、無言で睨みを利かせる姿が印象的だった富士子。公式サイトでは「お茶子の仕事に誇りを持ち、お茶子頭として強い責任感を持っている。怒ると少しこわい」と紹介されている。「椿! いけずばっか言うてたらえらい目に遭わすで!」と啖呵を切るシーンからは、そんな彼女の人柄が伝わってきた。

 富士子を演じる土居志央梨は、大学在学中に林海象監督の『彌勒』で映画デビューを果たし、藤本啓太監督『二人ノ世界』や行定勲監督『リバーズ・エッジ』などに出演。作品ごとに全く違う印象を与え、存在感を発揮する注目の女優である。

 第13回でシズと早川延四郎(片岡松十郎)の不義密通の噂が広がった時、富士子はシズや「岡安」のことを人一倍気にかけているように見えた。静かな物言いで「岡安」の将来を案じる姿には、彼女なりのお茶子としての使命感が感じられる。

おっとりして見えるが、意外に負けん気が強い節子(仁村紗和)

 節子には、その優しそうな顔つきからおっとりした第一印象を抱いた。だが先述した「福富」のお茶子たちとの一件では、一番に口を開き、穏やかな口調だが「あんまりてんご言わんといて」と彼女たちを咎めるような強い視線を投げた。

 節子を演じている仁村紗和は、モデル業のほか、最近では「P&G ファブリーズ ナチュリス」のCMに出演するなど、数多くの広告やMVに出演し、さまざまな作品で印象を強く残している。

 お茶子たちの間で、シズと早川の噂を広めたのが椿ではないかという話題になったとき、「福富の椿か」と怒気を含んだ声をあげていた節子。怒ると少し怖いのは富士子だが、喧嘩っ早いのは節子かもしれない。

千代と一番年が近く、仲が良い、朗らかな笑顔が魅力的な玉(古谷ちさ)

 玉は姉御肌な富士子、節子と比較すると、妹気質なキャラクターだ。椿にやっかまれ、「うち何も言うてへんのに〜」と困惑する姿はかわいらしい。富士子と節子、椿、ぼたん、あやめが取っ組み合いを始めた時も、一人その場でオロオロしていた。

 演じる古谷ちさは、大阪に拠点を置く劇団「空晴」の劇団員であり、2019年には第21回関西現代演劇俳優賞 奨励賞を受賞した役者である。

 千代と一番年が近い玉は千代と接するシーンも多い。千代がシズ(篠原涼子)に呼び出されたときにはその場を立ち去るまで、千代を心配そうに見つめていた。さりげないシーンだが、千代と親しい関係性がうかがえる。千代が披露した演技に見せたなんとも言えない表情が面白い。

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