『チェンソーマン』アニメ化はバトル上での演出に期待? MAPPAとの相性から紐解く

 12月14日、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた漫画『チェンソーマン』の連載が終了し(第2部が『少年ジャンプ+』で掲載)、同時にアニメ化されることが発表された。

 SNSを中心として大きく話題になっていたタイトルの最終回と、同時に発表された嬉しいニュースにSNS上は大盛り上がりし、日付が変わったばかりの深夜には関連ワードが軒並みTwitterのトレンド入り、夜が明けてからはYahoo!ニュースの主要トピックにまで取り上げられている。

 『ファイアパンチ』の藤本タツキによるヒーローパンクアクションという本作。物語のイントロはこうだ。「チェンソーの悪魔」であるポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジは、親が遺した借金返済のため、ド底辺の日々を送る中、裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、 悪魔の心臓を持つもの「チェンソーマン」として蘇る。

 一見、王道の異能力ファンタジーにも見える本作は、なぜここまで話題となったのか。漫画やアニメーションに詳しいライターの倉田雅弘氏は、本作の『週刊少年ジャンプ』における立ち位置を以下のように語る。

「設定自体は、悪魔の力を宿した少年がデビルハンターとして悪魔を狩っていくという、異能力バトル漫画の王道ともいえるものなのですが、過激な暴力描写や意外な展開の連続で、刺さる人には強烈に刺さる作品です。前作『ファイアパンチ』の際に藤本タツキさんは、アンチ・ジャンプ的なことをやりたい、と仰っていましたが、王道路線の上にそうしたテイストが加わって、『週刊少年ジャンプ』誌上では異質な存在感を放っています。同時期にジャンプで人気を博した『鬼滅の刃』『呪術廻戦』と同じ路線のようで、その読後感は対照的とも言えます」

 劇場版が歴代興行収入1位を目前にした『鬼滅の刃』に、TVアニメも放送中の『呪術廻戦』、劇場版第3作の制作も発表された『僕のヒーローアカデミア』と、アニメと漫画の両輪で盛り上がっている『週刊少年ジャンプ』。その中でも『チェンソーマン』の熱の高さは異質を放っているという。

「藤本さんは『週刊少年ジャンプ』のWebアプリ『少年ジャンプ+』で前作『ファイアパンチ』の連載が始まった時点で、その強烈な内容からSNSを中心に注目されていました。また担当編集者の林士平さんが、SNSやインターネットを使って作品を広めることが上手い方というのもあり、『チェンソーマン』が『週刊少年ジャンプ』で連載が始まったとき、ファンの間では藤本さんが満を持して表舞台へ出ていくといった印象だったと思います。回を重ねるに連れて、意外な展開や過激で異質な表現に加速がかかり、いわゆる濃い読者の熱も高まっていきました。彼らがその回その回の衝撃をSNSに書き込むことで、次第に『単行本ではなく連載をリアルタイムで体験したい』というファンが増えていったように感じます。Webの配信で読んでいる人も目立ち、連載の最後の方では『週刊少年ジャンプ』が発売される毎週月曜の深夜0時にTwitterのトレンドに上がることも多かった。それで作品を知った人が、またSNSで『チェンソーマン』について拡散し、さらにファンが増えていくといった具合に作品が広がっているんです」

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