毎田暖乃、『おちょやん』を2週間牽引した溢れんばかりの笑顔 千代が見つけた“帰る場所”

 この子に間違いがないかと尋ねる警察に、シズは「間違いなく、うちの“おちょやん”(お茶子)です」と答える。そうして千代は正式に岡安のお茶子として認められ、みんなに囲まれながら主人公の宗助(名倉潤)から漢字を教えてもらった。最初の漢字は「家」。千代がこれから帰る家は、賑やかで一癖も二癖もある人たちが暮らすこの岡安だ。

 今週で千代の少女時代は終わり。子供とは思えないほど、口が達者で歯に衣着せぬ物言いが印象的な千代を『スカーレット』以来朝ドラ2度目の出演となる毎田がコミカルに演じた。一方で千代は家庭環境に恵まれず、かなり波乱万丈な幼少期を過ごしている。けれどその設定が重たくなり過ぎないのは、子供らしい愛嬌を残す毎田の演技力の賜物だろう。いたずらっ子な笑顔はずっと見ていたくなるような可愛さだった。

 子供から大人に変わる場面も『おちょやん』ならでは。布団から目覚めると千代が大人に……と思いきや出てきたのは宗助、はたまた自転車に乗って千代が軽やか登場!と思いきや、岡安の一人娘・みつえ(東野絢香)と“朝ドラあるある”を悉く覆す。極めつけに川へ落ちたのは、大阪が誇る漫才コンビ「海原はるか・かなた」のはるか師匠だ。役名は“知らないおっさん”だが、今後も物語に登場してくれることを願おう。そしてついに、掃除のため店先に出た大人の千代(杉咲花)が普通に顔を出した。「今日もええ天気やなあ」。杉咲演じる千代の笑顔が天にも届いたのか、今日は広い範囲で日差しが降り注ぐようだ。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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