毎田暖乃、『おちょやん』を2週間牽引した溢れんばかりの笑顔 千代が見つけた“帰る場所”

 甲斐性なしの父と反りが合わない継母を大切な弟のために“捨て”、9歳でたった一人奉公に出た千代(毎田暖乃)。『おちょやん』(NHK総合)第2週では、奉公先である大阪・道頓堀の芝居茶屋「岡安」で千代の女中見習いが始まった。

 女将・シズ(篠原涼子)がとりあえず、千代を岡安で働かせると決めた期間は1カ月。千代は女中頭のかめ(楠見薫)の厳しい仕込みのおかげで立派な働きぶりを見せていたが、そんな矢先、幸せに暮らしていると思っていた家族が借金で夜逃げしたと知らされる。真実は
定かでないが、金遣いの荒い父・テルヲ(トータス松本)のことだ。千代がせっかく稼いだお金を酒や博打に注ぎ込んだのだろう。

 弟のために働いていた千代はそれから仕事に身が入らず、大きな失敗をやらかしシズからクビを言い渡されてしまった。けれど、千代が帰る場所はもうない。そうとは知らなかったシズやかめも、千代の置かれた状況を知り心配する。

 なぜ千代は本当のことを言わなかったのか。先代の女将・ハナ(宮田圭子)は「自分は不幸だと思われたくないんや」と強がりな千代の本音を理解している様子だ。いつも穏やかでニコニコしているハナだが、乞食のおじさんたちを使って千代を捜索する様子や、道頓堀のことは警察よりも先に耳に入るという台詞からも底知れない人物であることがわかる。だからこそ、肝の座っている千代をどこか放っておけないのかも知れない。

 そんなハナは雨の中途方に暮れる千代を見つけ、芝居に連れていく。そこでは天海(茂山宗彦)亡き後、千之助(星田英利)を中心に舞台を作り上げ、観客を笑いの渦に巻き込む天海天海一座の姿が。志半ばでこの世を去った父の思いと重なる台詞に、やる気がなかった息子の一平(中須翔真)も迫真の演技を見せた。

 千代は父である天海から気にかけてもらえる一平を羨ましいと言ったが、その父はもうこの世にはいない。一座と芝居茶屋。場所も状況も異なるが、家族を失った2人にとってそこがただ一つの“帰る場所”という点は一緒だ。

 千代はハナと一緒に岡安へ帰り、改めてシズに自分の過去を話す。「ここに置いたってください。もうここしかあらへんのです」と涙ながらに頼む千代。そこに千代を探していたという警察がやってくる。追い出したシズも千代を心配して、ちゃっかり捜索願を出していたのだ。

関連記事