イスラエル映画『声優夫婦の甘くない生活』本編映像公開 映画泥棒の決定的瞬間が
12月18日より公開されるイスラエル映画『声優夫婦の甘くない生活』の本編映像が公開された。
本作は、ずっと誰かの声を演じてきた吹き替え声優の夫婦が、初めて“本当の声”に気付くとき、甘くない世の中で、お互いがかけがえのない存在であることを思い知る物語。
ソ連からイスラエルに移民してきたスター声優夫婦は、夢と希望を抱いて第2の人生をスタートさせる。しかし現実は厳しく、声優の仕事にありつけない2人がようやく手にしたのは、人には言えない闇仕事だった。妻の秘密が発覚したことをきっかけに、長年気付かないふりをしてきたお互いの“本当の声”が噴出し始める。
監督を務めたエフゲニー・ルーマン自身の旧ソ連圏から移民した経験をもとに、7年の歳月をかけて作り上げられ、イスラエル史上最大の移民の波である「鉄のカーテン」崩壊後に、より良い生活を願って海を渡ったロシア系ユダヤ人たちの歴史の一幕をスクリーンに描き出している。
映画愛溢れる本作の中で、とくに笑いを誘うシーンのひとつとして挙げられるのは、夫のヴィクトルが闇仕事デビューしてしまう場面。違法ロシア語吹き替えのレンタルビデオ店で、ようやくありついた声優の仕事を手放したくないヴィクトルは、映画館での新作映画を盗撮する仕事にも励んでしまう。
公開された映像は、まさにヴィクトルが映画館で映画泥棒をするシーン。ヴィクトルは映画館で大胆にも真ん中の席を選び、先輩のシュリクはヒヤヒヤしている様子。お菓子を食べ余裕なそぶりを見せ、暗くなった瞬間、手際よく杖を三脚がわりにセット。デビューにも関わらず、その堂々とした振る舞いには、シュリクもタジタジ。犯行が見つからないか緊張に包まれるなか、なんと、遅れてきたカップルが前の席を陣取りイチャつき始めてしまう。
日本では映画館で上映前に撮影禁止のCMがかかり、違法行為として周知されている“映画泥棒”。海外の一部地域では、政治情勢により外国映画が視聴禁止とされ、違法に流通するダビングビデオが映画ファンを支えていたというカルチャーも存在している。90年代にソ連からイスラエルへ移民したルーマン監督もインタビューで、「海賊版ビデオ屋でロシア語吹き替えの映画を観て育った。言語の壁もあったし、移民には劇場料金が高すぎたから」と語っている。
■公開情報
『声優夫婦の甘くない生活』
12月18日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督:エフゲニー・ルーマン
脚本:ジヴ・ベルコヴィッチ エフゲニー・ルーマン
出演:ウラジミール・フリードマン、マリア・ベルキン
後援:イスラエル大使館
配給:ロングライド
2019年/イスラエル/ロシア語、ヘブライ語/88分/スコープ/カラー/5.1ch/英題:Golden Voices/日本語字幕:石田泰子