『恋あた』健気すぎるマコッちゃんの奮闘 クリスマスに樹木を笑顔にできるのは誰?

 浅羽を好きだからこそ、樹木といるときのほうが幸せそうにしていることに気づいてしまう。自分では引き出せない浅羽のいいところが、どんどん出てきているのがわかってしまう。誰よりも自分が浅羽を幸せにしたかったけれど、そうではないことがわかってしまった。そして何よりも、そんな浅羽のそばにいることが辛いのだ。握り返してもらえない手を掴み続けるのは、その手がすり抜けていくよりもずっと悲しい。だから、自ら手を離すしかなかった。大好きだからこそ、自分とではない人と過ごす幸せな日々を願って。

 そして里保は、どこかで同じ想いを抱えているはずだと感じていた新谷に、別れた事実を明かす。浅羽の前でも流さなかった涙が溢れ出てしまうのは、本音がぶつけられない里保らしいシーン。この素直さが浅羽の前で出せていたのなら「我慢」か「別れる」かの2択にはならなかっただろう。でも、それが里保なのだ。里保が偉かったのは、この悲しい現実の理由を樹木や浅羽にせず、自分自身が「手を離した」と受け入れているところ。そんな里保の奥ゆかしさを理解してくれるパートナーと出会い、今度はいい女ではなくいい恋を目指してほしい。

 そんな里保を見ながら、不安を募らせる新谷。彼女の気持ちが痛いほどわかるから、安易に慰める言葉をかけられない。ましてや抱き寄せるようなこともできない。樹木と浅羽が特別な絆で結ばれていることなんて、とっくに知っていた。それでも諦めきれない想いだからこそ、こうして「クリスマスまで」と食らいついて、体当たりで頑張っているのだ。何より浅羽にはできない形で、樹木を幸せにできる自信がある。その自信があるうちは、抗って、粘って、何度だって樹木の手を掴み続ける覚悟だ。

 まったく里保も新谷も、いけ好かない奴だったらどんなによかったか。切ない2人の表情に、鈍感な浅羽が罪作りに思えてくるほどだ。そんな2人にも、『ココエブリィ』上目黒店の上杉店長(飯塚悟志)の言葉「幸せだね、そんなに誰かを好きになれるなんて」を贈りたい。苦しいほどに人を好きになれるというのは、幸せなこと。それだけ相手の幸せを願い、そして自分も幸せになりたいと夢を見られるのだから。それが例え今、目の前の相手と叶わなかったとしても、きっとそのやさしい気持ちは次の恋をあたためてくれるはず。

 とはいえ新谷は、すぐに諦めるつもりはない。クリスマスまではまだ時間がある。浅羽が本当の気持ちに気づいて大ピンチではあるものの、現時点で樹木の手を掴んでいるのは新谷だ。視聴者の「マコッちゃん派」も多い。もちろん「浅羽派」の声援も聞こえてくる。ふと冒頭で樹木と新谷がクイズ番組の最終問題について話していたのを思い出す。最後の最後で高得点をゲットして一発逆転! その会話が今後の恋の行方を示唆しているのだろうか。果たして、クリスマスに樹木を笑顔にできるのは、誰なのか。最後の最後まで、目が離せない。

■放送情報
『この恋あたためますか』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、飯塚悟志(東京03)、古川琴音、佐藤貴史、長村航希、中田クルミ、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史
脚本:神森万里江、青塚美穂
プロデュース:中井芳彦
演出:岡本伸吾、坪井敏雄
主題歌:SEKAI NO OWARI「silent」(ユニバーサルミュージック)
製作著作:TBS
(c)TBS

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