また、彼女の演技の特徴に挙げられるのが“視線での演じ分け”だ。その“視線”“目の動き”に役のその瞬間瞬間の怯えや不安、力強さ、不甲斐なさ、喜怒哀楽全てを湛えて見せてくれる。正に「目は口ほどにものを言う」である。

　そんな彼女が『おちょやん』で、のちに千代の「もう一人の母親」と言える存在になっていくシズをどんな風に演じ、血縁関係のない千代とシズの間に芽生える信頼関係、絆の変化感、互いの“心の雪解け”をどうやって表現してくれるのか見ものである。この芝居茶屋での女中経験こそが、千代が女優を目指すきっかけになるのは間違いなく、千代の人生を決定づけるような出来事や、シズからの助言があるのかどうか、千代とシズの“人生の交わり”を見るのも楽しみだ。

　毎田暖乃演じる子ども時代の千代、そこから成長した杉咲花演じる千代、どちらとの掛け合いも堪能したい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演：杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り：桂吉弥
脚本：八津弘幸
制作統括：櫻井壮一、熊野律時
音楽：サキタハヂメ
演出：椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供＝NHK
公式サイト：https://www.nhk.or.jp/ochoyan/