『DIVER』の福士蒼汰、『MIU404』の菅田将暉ら、見事な悪役ぶりでインパクトを与える俳優たち

 役者はドラマや映画によって様々な顔を見せる。時に意外な人物が別の作品で全く違う役を演じていたり、あまりに印象が変わりすぎて同一人物だと気がつかないこともあるだろう。そこまで雰囲気を変えられたら役者冥利に尽きるというものだ。

 そんな中で、特に視聴者に強いインパクトを残すのが“悪役”ではないだろうか。多くの場合、人気のある役者は、若手の頃に人望があったり、人から好印象で見られる役を演じることが多い。青春映画のヒーローや、若手の登竜門である戦隊モノのヒーロー、ヒューマンドラマの主人公、医療ドラマの一員として人を救うこともあるかもしれない。しかし悪役で、かつ強い魅力を放つとなると難しい。演技力も要求されるし、カリスマ性やスター性も必要だ。しかし普段は良い人の役が多いのに、突然悪役で怪演を見せたとなると、そのギャップに惹かれ、さらに深い層から支持される。一気に役者としてステップアップしていける重要なポジションにもなる。

 昨今のドラマでも、印象的な悪役ぶりで多くの視聴者を魅了している役者がいる。今回は悪役キャラクターのタイプ別に、印象的な芝居を見せた俳優について言及していきたい。

頼れる“良い人”が突然豹変、主人公をどん底に

高杉真宙『私たちはどうかしている』(c)日本テレビ

 身も心もボロボロになったヒロインを支えてくれる人物が現れたら、こんな心強いことはない。弱っているときに優しく寄り添ってくれたら、ヒロインはつい心を許してしまう。だがそんな“良い人”が、ある日、突然牙をむき恐ろしい復讐を企ててきたらどうだろうか。このような突然、悪へと豹変する役を演じたのが、『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』(読売テレビ・日本テレビ系)の神尾楓珠だ。神尾は「爽やかな職場の後輩」から「主人公を陥れる卑劣な男」まで、ギャップのある姿を見せつけ、ヒロインだけでなく視聴者にも大きな衝撃を与えた。まだキャリアの浅い若手俳優でありながら、既に芝居の才に恵まれている様子を見せる。

 さらに豹変するキャラクターとして、もう1人忘れてはならないのが『私たちはどうかしている』(以下『わたどう』、日本テレビ系)の高杉真宙。素直で明るい好青年が突然、ヒロインの頭めがけて大きな壺を落としたり、冷たい瞳で「ムカつくんですよねえ、椿さん」「絶望した顔とか、見たくなっちゃうんですよ」などと辛辣なセリフを吐く姿が印象的だった。高杉は『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』Season4(フジテレビ系)でも同じようにギャップを持つ悪役として素晴らしい演技を見せてくれ、このところの活躍からは悪役が板についてきたようにも感じる。『わたどう』の悪役ぶりにはSNS上でも「高杉真宙なら何かやってくれると信じていた」などの称賛の声が相次いだ。

愛ゆえの執念 あの手この手で主人公を陥れる

 主人公に対して執着を持ち、あの手この手で自分のものにしようと試みたのが、『大恋愛』(TBS系)の小池徹平だ。小池がこの役で表現したのは若年性認知症の患者の苦悩と、同じ病を持つ女性に対する異常なまでの執着心である。好きになった相手に繰り返しストーカー行為をしたり、睡眠薬入りのコーヒーを飲ませようとするなど、犯罪スレスレの行動でゆがんだ愛情を表現した。それまで“優しい人”、“善良な人”といったイメージの役を演じることが多かった小池だが、『大恋愛』の狂気の演技で新境地を開くこととなる。

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