『エール』裕一は“軍歌の覇王”への路を突き進むのか 時代の変化にともなう木枯との立場の逆転

 音は裕一とはまた違った形で、戦争の時代を生きる人々を励まそうとしていた。それが、慰問先での合唱だ。“歌いやすくて心豊かになれる曲”をテーマに選曲したが、すぐに音楽挺身隊の顧問・神林(円成寺あや)から生ぬるいと一蹴されてしまった。負けじと「音楽は音楽だと思います」と反論した結果、“非国民”のレッテルを貼られた音。戦下でも、音楽で誰かを笑顔にしたいという音の信念は変わらなかった。そんな彼女を、裕一は「こうなってしまった以上、この国に生きる人間としてできることをやっていくしかない」となだめる。2人は時代に順応できる、できないという点で異なっているが、どちらも純粋なことには変わりない。故に翻弄されてしまうのだろう。

 第17週「歌の力」では、召集令状を受け取った裕一が、海軍の航空機搭乗員を目指す“予科練”の若者たちに向けた曲を作る。若者が死を覚悟し、命がけで戦う姿を目にした裕一はどんなメロディを紡ぐのだろうか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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