西田尚美、筒井道隆、段田安則らが従来のイメージと異なる役に 『半沢直樹』のキャスティングの妙

 余剰人員を受け入れるはずだったスカイホープ航空は新規路線の認可が下りず、開発投資銀行(開投銀)の融資も見送りに。半沢(堺雅人)が進める帝国航空の再建案は暗礁に乗り上げる。債権放棄を飲ませようとする国交大臣の白井亜希子(江口のり子)と、進政党幹事長の箕部啓治(柄本明)が裏で糸を引いていた。

 『半沢直樹』(TBS系)第7話では、白井直属のタスクフォースが合同報告会を開催。これには、融資元の銀行に債権放棄を表明させ、タスクフォースの実績を大々的にアピールする意図があった。東京中央銀行も役員会を招集。常務・紀本(段田安則)の「銀行員生命を賭けた」説得によって、債権放棄の方針が決定する。半沢は、かろうじてメインバンクである開投銀の同意という条件を了承させる。500億の行方は開投銀の動向に委ねられた。

 開投銀の担当者は次長の谷川幸代(西田尚美)。開投銀を「天下りの温床」と断じ、組織改革を訴える谷川が第7話のキーパーソンとなった。西田は『集団左遷!!』(TBS系)以来の日曜劇場への出演。同作では、香川照之演じる副支店長・真山徹の妻として病床から夫を見守った。

 どちらかと言うと柔らかい印象のキャラクターを演じることが多い西田だが、『半沢直樹』で演じる谷川は、タフな交渉の場でも表情を変えない“鉄の女”。イメージと真逆の配役を、西田は芯の強さを感じさせる視線と毅然とした態度で見事に具現化している。鉄壁のガードを誇る谷川が半沢に思わず内心を吐露する場面から、政府系金融機関の開投銀で銀行員としての信念を貫くことの葛藤が伝わってきた。

 西田に限らず、『半沢直樹』には従来のイメージとギャップのある配役がいくつも見られる。タスクフォースのリーダーで弁護士の乃原正太を演じる筒井道隆は、『あすなろ白書』(フジテレビ系)でいわゆる“トレンディ俳優”としてブレイク。いかにも好青年な筒井に対して、乃原は、国の威光を笠に着て皮肉や恫喝まがいの言葉を浴びせる嫌味な人物であり、筒井のイメージと対極にある役どころだ。

 また、舞台出身で演技力に定評のある段田安則が常務の紀本を演じている。段田は、これまでにも『聖者の行進』(TBS系)などで悪役を演じることはあったが、あくまで例外的であり、ホームドラマでの父親役など、“温和で気の弱い中年”という印象がある。第7話で、紀本には、箕部や白井と通じて銀行の情報を流すという裏の顔があることが明らかになった。強い語調で債権放棄に執念を燃やす紀本と、段田の温厚なイメージには明らかに隔たりがある。

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