バイプレイヤーたちにとって脅威の存在に? 視聴者を瞬時に釘付けにする“役者”岡崎体育

 『MIU404』(TBS系)の第3話に出演し、話題になったシンガーソングライターの岡崎体育。演じた役どころは、女子高生を監禁しようとする強制わいせつ犯の変態役で、SNSには「ハマり役すぎる」「ガチ不審者すぎて笑った」といった声が続出していた。さらに、そうした興奮も冷めやらぬうちに、岡崎体育はすかさず翌日にTwitterを更新。「最後の一行でダメージ与えてくる母」という呟きと共に、母親から来たというこんなLINEのスクショをアップしてみせたのだ。

「SNSで岡崎体育が犯罪者顔って言うてはる人達ほんまに許せない。犯罪者顔ってどういう事やねん! 太ってて不細工なだけやんか!」

 ドラマ放送後に、親のキレあるコメントによるオチまでつけてくる完璧な「場外乱闘」ぶりは、もはやさすがと言う他ない。

 とはいえ、岡崎体育が役者として重宝されるであろうことは、彼のドラマデビュー作だったNHK連続テレビ小説『まんぷく』出演時からすでに確信していた人も少なくなかったのではないだろうか。

『まんぷく』を機にNHKドラマ部の扉を開く

 演じたのは、長谷川博己演じる萬平が進駐軍に逮捕されたときの看守役。「カリフォルニア生まれで、なぜかカタコトの関西弁を話す二世」である。告知なく突然登場し、不気味さと胡散臭さ、ネタキャラ臭さを振りまき、視聴者の心をざわつかせ、話題をさらっていった。

 ちなみに、このときのオファーのきっかけは、NHKの制作サイドが「Natural Lips」という英語風の曲などがあることからか、「岡崎体育は英語できるやつ」と勘違いしたものだったと本人がインタビューで語っている(参考:朝ドラ出演決定はスタッフの“勘違い”から? 岡崎体育がぶっちゃける | ananニュース)。にわかに信じがたいネタのような話だが、その虚実入り混じった胡散臭いあり方そのものが、岡崎体育ファンタジーと言っても良いだろう。

 『まんぷく』を機に、NHKドラマ部にすっかり気に入られてしまったのか、続いて多部未華子主演の『これは経費で落ちません!』(2019年)の第3話にもゲスト出演。新商品のデザインを企画する先輩社員で、不都合なことがあると「交通事故に遭った」などと見えすいた嘘をついて逃げ出す馬垣をふてぶてしく、ニクタラおかしく演じていた。

 そのクズぶりには「自然体すぎてこわい」「絶対、素」などの指摘が多数出ていたが、表情一つでこうもイラッとさせることができるのは、もはや名人芸のようでもある。

 岡崎体育の演技にイラッとさせられたり、クスリとさせられたりしながら、気づくと、「もっと摂取したい」という珍味的味わいにハマってしまう。これは、彼のある種の造形的魅力の勝利だと思う人も少なくないかもしれない。

 しかし、上記の演技は言ってみれば、岡崎体育の演技の魅力のダイジェスト版である。贅沢にフルスケールで楽しみたい人にお勧めなのは、中島裕翔主演の『僕はどこから』(テレビ東京系)だ。

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