授賞式は2カ月後ろ倒しの4月25日開催に 2021年のアカデミー賞はどうなる?

 ちなみにアカデミー賞授賞式の延期を受け、前哨戦と呼ばれる各賞も日程の変更を余儀なくされている。英国アカデミー賞(BAFTA)は4月11日(今年は2月2日)、サンタバーバラ映画祭は3月31日~4月10日(今年は1月15日~25日)、例年アカデミー賞授賞式の前夜に行われるインディペンデント・スピリット賞は4月24日に開催することが発表されている。スターが揃い華やかなゴールデングローブ賞は、1月10日開催 予定だったが2月28日に延期となることが発表された。

 明るいニュースがあるとすると、2020年12月を予定していたアカデミー・ミュージアムのグランドオープンが授賞式直後の2021年4月30日に設定されたことだろう。ロサンゼルス市中心部に位置するミュージアムはレンゾ・ピアノの設計で、展示スペースと1000人収容のホールを持つ。こけら落としにはアメリカで初の大型展示となる「宮崎駿回顧展」が行われることが発表されている。先ごろ医療関係者支援チャリティとして米映画会社のA24が行なったオークションで『ミッドサマー』でフローレンス・ピューが着用していたフラワードレスを6万5千ドルで落札したのもアカデミー・ミュージアムだ。ミュージアム開館ガラ・ディナーは4月17日に予定されていて、2日前の15日に開催されるノミニーランチのためにロサンゼルス入りする候補者や関係者もガラに出席する可能性がある。授賞式及びアカデミー・ミュージアムの開館は、コロナ禍から約1年後の2021年4月に映画界の完全復活を祝うイベントとなるだろう。全てが「未定、予定、暫定的」としばらくは混乱が続くだろうが、あと10カ月の間に状況が好転することを願うばかりだ。

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

credit: Troy Harvey / (c)A.M.P.A.S.

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