『素敵な選TAXI』タイムトラベルものの理想な形に 勝地涼ら豪華ゲストの演技を改めて堪能

 新火曜ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』の撮影再開の目処がまだ立っておらず、今週も引き続き再放送された『素敵な選TAXI』(カンテレ・フジテレビ系)。2014年に放送された本作は、バカリズム脚本のもと、過去に戻ることができる“選TAXI”の運転手・枝分(竹野内豊)が、問題を抱えた乗客を“人生の分岐点”へと連れていき、過去を変える手助けをするという1話完結の物語である。5月5日に放送された第4話は、本ドラマのいくつかのエピソードの中でもタイムトラベルものとしての面白みがあふれた秀逸なエピソードといえるだろう。

 ある日突然町工場をクビになった朝倉(勝地涼)は、その帰り道のバスで偶然宝くじを拾う。途方に暮れながら何気なく宝くじの番号を調べてみると、なんと1億円の当たっていたと判明。慌てて近くに停まっていた“選TAXI”に乗り込んで銀行に向かう朝倉だったが、窓口が開いている時間に間に合わず、しかも支払い期限が今日までであるというまさかの事態が。そこで枝分は、朝倉をバスに乗る直前まで連れて行くことにするのだが、タイムトラベルした先でも次々と新たな問題が発生してしまうことに。

 幾重にも重ねられたタイムトラベルの結果生じる複雑な過去改変の数々は、宝くじの換金という非常に明確な目的があるからこそできるものであろう。もっとも2度目のトライのときに家から印鑑を持って銀行までダッシュした朝倉が、その道中で看板の下敷きになっている人を見つけるわけだが、後々リトライを重ねて行くうちにその被害者が自分になってしまうという流れに至るまで改変は重ねられて行く。しかし、一見バッドエンドのような結末と思わせておいて、その後“選TAXI”にたまたま宝くじの落とし主が乗り込んだことで再度過去が改変され、朝倉は元に戻る。複数の人が過去を変えようとすることによって、関わった人物全員が本来あるべき形にきちんと戻るというのは、このドラマが求めるテーマの最も理想的な形ではないだろうか。

 さて、この第4話でゲスト出演者として登場した勝地涼は、歳を重ねてもこういうちょっと危なっかしい役柄が不思議とよく似合う。それでもデビューからコンスタントに様々なドラマや映画で印象に残る演技を見せてくれているだけに信頼度の高い俳優であることは間違いない。とりわけ前田敦子との結婚以降、『銀魂2』の将軍役や『ヒモメン』(テレビ朝日系)での池目先生役、そして昨年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』での美川役と、演技の活きの良さが格段にあがっているものと伺えるだけに、そろそろ正真正銘の代表作といえる作品を手にしてもいい頃であろう。放送開始が延期されている日本テレビ系列の水曜ドラマ『ハケンの品格』の第2シリーズでの活躍に期待大だ。

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