窪田正孝の指揮姿を何度でも観たい! 過去朝ドラ要素も注目の『エール』タイトルバック

 オルガンと一緒に描かれるメトロノームも印象的であるが、特筆しておきたいのがタイトルバックのラストを飾る教会の鐘。『エール』第1回では、まもなく始まる東京オリンピック開会式を前に緊張してたじろぐ裕一を必死に励ます音の姿があった。そこに現れるのが、長崎出身だという警備員(萩原聖人)。空襲によって親や兄弟、親戚を亡くした彼は、「生きる希望ば与えてくれたとは、先生の『長崎の鐘』です」と伝え、その言葉が裕一を開会式という晴れ舞台へと後押しする。

 長崎を舞台に、医師で執筆家である永井隆とされる人物と裕一の出会いが描かれるのはずっと先のことだと思うが、タイトルバックにて大きく左右に揺れて鳴り響く鐘の音は、永井への思い、そして共に歩んでいく裕一と音の未来を祝福しているかのように思える。

 上述したタイトルバックのポイントは、ほんの一部であり、驚くほどに細かなこだわりが特集記事では解説されている。改めて感じるのが、これから半年間をかけて、このタイトルバックがより深みを持って愛されていくであろうということ。『エール』のストーリーに寄り添うタイトルバックは、何度観ても飽きさせない一つの作品として、いつまでも私たちを楽しませてくれるに違いない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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