『絶対零度』高杉真宙、事件の黒幕として狂気と涙の名演 シーズン5への期待も膨らむ最終回に

 沢村一樹が主演を務める『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)が、3月16日に最終話を迎えた。

 東京サミットのテロを引き起こした首謀者であり、亡くなった香坂(水野美紀)の弟は篠田(高杉真宙)という衝撃的なラストで幕を閉じた前回。篠田は失敗した計画、つまりミハンの法制化をやり遂げるため、ミハンの大きな壁となっている南雲元総理(浜田晃)の暗殺を企てる。南雲を助けるためには篠田が持っている爆弾の起爆装置を奪うしかない。井沢(沢村一樹)は、彼が全てを終わらせようとしている始まりの場所、26年前に神経ガスが撒かれ地獄絵図と化した映画館へと向かう。

 篠田はテロだけでなく、血の繋がった姉である香坂を射殺し、井沢の妻と娘をも刺し殺していた。血の付いたナイフをプレゼントとして、「そうだよ。僕が殺した」と満面の笑顔で挑発する篠田。「未来の多くの命が失われるから」と詭弁で塗り固められた篠田に、井沢は拳銃を向ける。娘の最期の言葉は「助けて。お父さん」だったという篠田の狂った態度に、井沢は一線を越えまいと絶叫し、怒りと悲しみを必死に押さえ込むのだ。

 「死んじゃダメだよ。お父さん」「あなたが必要なんです」。娘と香坂と一緒に、脳裏をかすめる宇佐美(奥野瑛太)の「言っただろ。お前は越える。一線を」という声。井沢は拳銃を篠田のこめかみから天井に向け、3発の発砲をする。

 「君は僕だ。僕が君だったのかもしれない」。犯罪を憎み、この世からなくしたいという祈りのような思いは、井沢と篠田にも共通している。篠田には、最初から爆弾を起爆させる気はなく、井沢を挑発していたのは自分が死ねば、ミハンシステムが危険人物を事前に検知したことになり、法制化に一歩近づく事実を作るためだった。

 「僕は罰を受けなきゃいけない」。必死に叫ぶ篠田は、諏訪(松尾諭)から撃たれた傷口が悪化し、その場で息絶えてしまう。26年前に映画館で篠田を助けた加賀美(柄本明)が、「もういい。もう終わったんだよ」と抱きしめる。スクリーンに映る映画『三十四丁目の奇蹟』のエンドロール「THE END」の文字が切なく光る。

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