『スカーレット』八郎が“2つのご飯茶碗”でプロポーズ 常治が明かした父としての本音

 ついにやってきた八郎(松下洸平)の陶芸展の結果発表の日。『スカーレット』(NHK総合)第71話は、なんともにぎやかな回となった。

 丸熊陶業は、絵付け火鉢の作成をさらに縮小、かつてフカ先生(イッセー尾形)たちがにぎやかに作業していた作業場も今や喜美子(戸田恵梨香)一人。朝の体操を懐かしく感じてしまうのは筆者だけだろうか。一方で、建築資材用のタイルに力を入れはじめた商品開発室は好調のようだ。

 八郎は、神妙な面持ちで喜美子の作業場へ。陶芸展の結果の知らせが届いたようだ。「待てや、その顔は……裏の……裏をかいてる?」と探りを入れる喜美子に対し、八郎は「作った」と、2つのご飯茶碗を差し出す。「湯飲みは喜美子が作ったんがあるやろ? これで毎日一緒にごはん食べよな? これからずっと」。この言葉が言わんとすることはもうお分かりだろう。「毎日俺の味噌汁を作ってくれ」という有名なフレーズがあるが、八郎なりのプロポーズなのだ。この言葉を頭に浮かべながら、八郎がご飯茶碗を作っていたと考えるとなんとも微笑ましい。

 入選の発表を受けて、信楽は大いに沸き立つ。大野の喫茶店には、窯業研究所の次期所長が来店。八郎が作ったコーヒー茶碗と合わせて、喜美子のコーヒー茶碗も目に留まったようだ。

 その夜川原家では、総出で宴会へ。次々とお祝いを持参してやってくる人たち。鯛にお酒にとなんとも豪勢で笑いの絶えない会となった。しかし、常治(北村一輝)はどうも落ち込んだ様子。先週の放送で、「陶芸展で入選してみい!」と言い放ったが、実際に実現すると複雑な心境なのだろうか。

 しかしそんな不安は払拭される。宴がお開きになり、縁側で心ここにあらずの常治。八郎はお酒を持ち「まだ一緒に飲んだことなかったんで」と恐る恐る声をかける。コップに手を伸ばさない常治。ここから一波乱が起きるのだろうかと思ったその時、常治はポツリと語りはじめる。「娘がな……。娘が3人おって……。男は俺1人で。息子が欲しかったんや。喜美子を……頼むな。頼みます」。どうやら杞憂だったようだ。1人で妻と娘を養っていくことに孤独にプレッシャーを抱えていたこともあるのだろう。そんな常治の父親としての一面が見えた瞬間だった。

 次回放送では、喜美子たちが正装で家族写真を撮影。どうやら窯業研究所の人から喜美子に吉報も届いたようで、二人の新婚生活は順風満帆な漕ぎ出しとなりそうだ。

(文=安田周平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)~2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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