『殺さない彼と死なない彼女』インタビュー

桜井日奈子×箭内夢菜が『殺さない彼と死なない彼女』で語りつなぐ「未来のはなし」

物語で2人が交わす、「未来の話」

――別軸で進んでいた鹿野と撫子のストーリーが繋がる展開にうるっときました。

桜井:鹿野が「未来の話をしましょう」ってさらっと言えたのはすごい変化だと思うんです。それは、小坂との出会いがあったからで、間違いなく二人が出会ったことに意味があったんだというのが、あのセリフだと思っています。二人の出会いがあったからこそ、八千代と撫子があって。原作は三つそれぞれストーリーが別なのに、映画では小林監督が繋いで脚本を書かれていて感動しました。

箭内:私もその繋がりにすごく感動しました。監督が、3組のパートから、ちょっとずつキーワードを出していくと最終的には全部繋がるんだよって教えてくださった時は鳥肌が立ちました。「未来の話をしましょう」というのは、この作品の中ですごく大切なセリフだと思います。

――本作で主軸として描かれる鹿野と小坂の物語について、桜井さんが演じて感じたことを教えてください。

桜井:小坂と鹿野は、「死ね」とか「殺すぞ」とか、すごく暴力的な言葉を使いますが、その言葉の奥にはちゃんと優しさや愛があると感じられるんです。クラスの中ではそれぞれ孤立しているけど、ハチの埋葬をしている鹿野を面白いって思ってくれる小坂がいて、それってどんな鹿野でも受け入れてくれるということだと思うんです。繕わなくてもいい、本当の自分を受け入れてくれる人って、たくさんはいなくていいんだなと思ってもらえるような関係がいいなと感じました。

――きゃぴ子(堀田真由)と地味子(恒松祐里)、撫子と八千代、鹿野と小坂、みんなに共通する関係でもありますね。

桜井:そうですね。鹿野にとっては小坂で、撫子にとっては八千代くんであるように、たくさんはいらない、一人いれば十分なんだなと考えさせられました。そういう人がいれば、どこに行くとか何をするというよりも、その人といることが日常を輝かせるんだなって。原作でも、小坂と出会う前と後では、鹿野の目の色が違うんです。小坂と出会ってからの鹿野はすごくイキイキしているのが絵からわかって、それは演じる上で一つヒントになりました。心を許せる人といる時間ってこんなにも景色が鮮やかなんだなと感じながら芝居をしたので、「君の隣で、世界が変わる。」というキャッチコピーは、本当にその通りだなと思います。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

■公開情報
『殺さない彼と死なない彼女』
11月15日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
出演:間宮祥太朗、桜井日奈子、恒松祐里、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、金子大地、中尾暢樹、佐藤玲、佐津川愛美、森口瑤子
監督・脚本:小林啓一
原作:世紀末『殺さない彼と死なない彼女』(KADOKAWA刊)
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン
制作プロダクション:マイケルギオン
製作:「殺さない彼と死なない彼女」製作委員会
(c)2019映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会
公式サイト:http://korokare-shikano.jp/

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