『いだてん』すべてが繋がる宮藤官九郎脚本の本領発揮 浅野忠信の“悪役”っぷりも評判に
「政治とスポーツは別物と繰り返し口を酸っぱくして言ったろ!」
治五郎の言葉は田畑の胸に深く刺さる。これまでの回で何度も描かれてきた政治とスポーツのつながり。そのどれもが暗い影を落としていたにも関わらず、田畑が向き合っている東京オリンピックは、政治とスポーツの距離がジリジリと近づいている。一喝された田畑はうなだれ、ため息をついた。
しかし治五郎は「それはそうと」と話を変えると、田畑に選手村を代々木に変更するヒントを与えた。極論で周囲の人々を困惑させてきた治五郎だが、この「それはそれ、これはこれ」という潔さが、今後も田畑を奮起させるのだろう。
また第42回で驚かされたのが、落語パートとメインパートがつながった瞬間である。五りん(神木隆之介)は父・小松勝(仲野太賀)の師である金栗四三(中村勘九郎)と対面し、志ん生(ビートたけし)を背負いながら引き継がれてきた『富久』を披露。そしてとうとう田畑ともつながることに。バラバラの時代を行き来してきた『いだてん』だが、「オリムピック噺」を語る五りんを通じて集約されていく。次回、国民のオリンピック熱を盛り上げるため、広告塔として任命される五りん。これまでの宮藤官九郎脚本作品もそうだったように、すべての登場人物たちが繋がり始めた。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:阿部サダヲ、中村勘九郎/綾瀬はるか、麻生久美子、桐谷健太、斎藤工、林遣都/森山未來、神木隆之介、夏帆/リリー・フランキー、薬師丸ひろ子、役所広司
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/