『いだてん』で素晴らしい生き様を見せた仲野太賀 中村勘九郎との師弟関係が表れた撮影現場レポ

森山未來と中村七之助が完璧に再現

 続いて、孝蔵を演じる森山と圓生を演じる七之助の共演シーンの撮影に。今度は舞台を変え、39話の戦時中の満州での芝居になる。街の雰囲気も、エキストラの様相も変わり、同じ敷地内とは思えないほど雰囲気が一変した。満州に到着した孝蔵と圓生が並んで歩きながら話をするシーンでは、伸び伸びと芝居をする森山と七之助の姿に釘付けになる。

 何気ない会話のシーンも、横から、正面からと数パターン撮影し、役者は同じ芝居を何度も繰り返さなければならない。2人は何度やってもクオリティを落とさない芝居を維持し、さらに言い回しやアドリブ、ちょっとした仕草までも完璧に再現していた。

 遠くから撮影するシーンでは孝蔵の破天荒さがわかるような歩き方と、圓生の繊細さがわかる歩き方で2人の関係性とキャラクターがはっきりとわかる。カットがかかると素の姿に戻っていくことで、2人が全身で役を表現していることが顕著にわかった。

 この日は前述の通り雨が降っていた。そんな環境でも、2人の瞳からはこの作品に対する熱意が伝わってくるほど演技に没頭しており、見ているこちらも胸が熱くなる。その中心には、中村勘九郎をはじめとするキャスト陣がいて、場を盛り上げたり、素晴らしい芝居で熱意を引き出しているのであった。

 いよいよ大詰めの『いだてん』では、戦後の日本の姿が浮き彫りになる。最後まで見届けて欲しい。

(取材・文=Nana Numoto)

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:阿部サダヲ、中村勘九郎/綾瀬はるか、麻生久美子、桐谷健太、斎藤工、林遣都/森山未來、神木隆之介、夏帆/リリー・フランキー、薬師丸ひろ子、役所広司
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

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