黒木華は自分が好きな自分を模索する 『凪のお暇』が描く“空気を読む”ということ

「空気って読むものじゃなくて、吸って吐くものだ」

 ついに始まった金曜ドラマ『凪のお暇』(TBS系)。コナリミサトによる同名漫画を原作に、黒木華、高橋一生、中村倫也と人気キャストが集結して実写化した話題作だ。

 空気を読みすぎて生きづらさを感じる28歳OL・大島凪(黒木)を主人公に、凪にモラハラ気味の発言を繰り返す恋人・我聞慎二(高橋)と、凪のアパートの隣人で天性の人たらし・安良城ゴン(中村倫也)が複雑に絡み合いながら、“自分らしく生きる“とは何かを問いかける。

 第1話のキーワードは「空気」。奇しくも、凪と慎二の務める家電メーカーでは、人工知能を搭載し、読みすぎるほどに空気を読んで、キレイにするという空気清浄機をリリースしたばかり。プレゼンテーションをするのは、社内でも一目を置かれるエリート営業の慎二だ。取引先のもとに向かえばいいリアクションを取り、社内のスタッフに雑用を頼むときには手土産を持参するなど、抜かりがない。そんな慎二のモットーは「空気は自分で作るものでしょ。読む側に回ったら負け」。

 その“負け側“にいるのが、凪だ。ふわふわクルクルの天然パーマをサラサラヘアにするべく、毎月ストレートパーマをあて、毎日1時間以上かけてヘアアイロンで伸ばしていく。ファッションは、誰からも好感が持たれる女子アナ系。同僚のSNSには「いいね」を忘れず、挙句の果てにはミスをかばったり、雑用を引き受けたり……輪からはみ出ないように、「空気が読めない」と言われないように、周囲の顔色を伺いながら生きてきた。

 それは、恋人の慎二に対してもそうだ。慎二が求める恋人像を必死に演じる凪。関係を周囲にヒミツにされているのも、いつかSNSで「結婚しました」報告という逆転ホームランが打てるのなら……と我慢して、本当は言いふらしたい気持ちを押し込んできた。だが、そんな努力を続けてきた凪の心が、慎二の空気を読んだ悪ノリ発言を立ち聞きしてしまったことで、完全に折れてしまう。

 空気を読もう読もうとした結果、空気の吸い方がわからなくなってしまっていることに気づいた凪は、慎二には一切告げずに、会社を辞め、女子アナ系の服も女子力の高い家具やぬいぐるみも捨て、スマホもSNSも全て手放し、ゆるゆるのTシャツとパンツと天然パーマの姿で布団だけを担いで自転車で、何もない新居へと向かう。

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