杉野遥亮、『スカム』で学んだ“主役”の醍醐味 「監督の近くで寄り添って話ができる」

「生き生きとしていたかった」

ーー予告編でもありますが、クレーンで吊られて泣き叫ぶ姿が印象的でした。

杉野:あそこは序盤に撮影があって正直まだちょっと探っていました(笑)。クレーンで吊られること自体はなんの疑問もないし、むしろ吊られたいなって思うくらいで(笑)、楽しんではできたんですけど、そこで誠実がどんな心情でいるのかというのは正直わかっていなかったです。ただ、見てくれた方に誠実に感情移入してほしいから、自分なりに想像できる余白を残せるよう、その時出たものをぶつけました。

ーー誠実は等身大の地に足ついた若者という印象です。

杉野:誠実の境遇や、詐欺をやる一歩手前の段階っていうのは自分に似ても似つかないものがありましたし、最初にプロットを読んだ時もなんだかしっくりこず、詐欺に対しても全面的に悪いものという固定観念が捨てきれませんでした。でも台本を読み進めるうちに、誠実が奥底で考えていることや不満、プライドなどを、自分でも想像できるようになっていきました。最初に監督やプロデューサーさんとお話しした際には「リアルにやってほしい、変に役を作るのではなく、杉野くんが思って感じたことを誠実として表現してくれればいい」と言っていただいて。そこから次第に自分が杉野として生きているのか誠実として生きているのかがわからなくなってくる瞬間もあって、そこは少し自信にもなりましたし、収穫にもなりました。

ーー1話の冒頭では誠実が詐欺のプロフェッショナルとなっている姿が描かれますね。普通の若者からアウトローに振り切っていく様子にどのように挑んだのでしょう。

杉野:いくつかターニングポイントや、誠実なりに一段階ギアが上がる瞬間がストーリーの中にあって、そこから逆算してやっていました。衣装に頼ったところもありますが、苦労は感じませんでした。誠実が詐欺をやっている瞬間に、生き生きとしていたかったんです。それは、詐欺だからというわけではなく、自分で考えて上を目指せて、上昇志向も野望もあって、そういう人間って実はキラキラしているんじゃないかと思っていただきたかったんです。

(取材・文・撮影=安田周平)

■放送情報
MBS/TBSドラマ『スカム』
MBS(関西):6月30日(日)より、毎週日曜24:50〜放送
TBS(関東):7月2日(火)より、毎週火曜25:28〜放送
※MBSの初回放送は6月30日(日)25:50~
出演:杉野遥亮、前野朋哉、山本舞香、戸塚純貴、福山翔大、水間ロン、若林拓也、華村あすか、柳俊太郎、山中崇、和田正人、西田尚美、杉本哲太、大谷亮平
演出:小林勇貴、原祐樹
脚本:継田淳
原案:鈴木大介『老人喰い』(ちくま新書)
(c)「スカム」製作委員会・MBS
公式サイト:https://www.mbs.jp/drama-scams/
公式Twitter:https://twitter.com/scam_0630

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