『キングダム』山崎賢人は誰よりも高く飛ぶーーデビュー10周年、次なる高みへ

 “役者とは、夢を与える職業”である。などというと、興ざめする人がいるかもしれない。しかし彼/彼女らの声や笑顔、一挙一動に勇気をもらい、その背を押されている人も少なくはないだろう。そんな夢を与える俳優の一人である山崎賢人が、主演最新作『キングダム』では夢を追う少年を演じ、デビュー10周年に相応しい姿をスクリーンに刻んでいる。

 山崎が活動を開始したのは2009年、ティーン向けのファッション誌でのモデル業でのことだ。その後すぐさま俳優へと転身し、10代のうちから映画で主役を張ってきた。そして『ヒロイン失格』(2015)、『orange』(2015)、『オオカミ少女と黒王子』(2016)、『四月は君の嘘』(2016)、『一週間フレンズ。』(2017)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)ーーと、少女マンガから少年マンガまでの実写化作品を彼は網羅。“マンガ実写化の王子”というポジションを築き上げ、その作品数は枚挙にいとまがない。演じるキャラクターはそれぞれ違うものの、役の一つひとつを山崎は幅広く自身の射程に収め、悠然と演じてきていたように見えた。

 だがすでにデビューから10年、悠然と挑める役どころばかりでは、彼自身、次のステージには進めないのではないだろうか。そんな中、昨年は『トドメの接吻』(日本テレビ系)と『グッド・ドクター』(フジテレビ系) の二本の連続ドラマで主演。映画では『羊と鋼の森』といった文芸作品でも主演を果たした。いずれの作品も、これまでとは走法を変えなければならなかったはずだ。彼が演じたどの人物も繊細で感情的であり、これまで以上に役の内面を掘り下げる必要のある役どころであったように思えたのだ。そこには悠然さというものが感じられなかった。これは今後の彼の役者人生の、もっと先を見据えた舵切りのようにも思える。実際こうしたところの功績から、山崎の知名度は中華圏でも飛躍的に向上。“アジアベスト俳優賞”の受賞も受けており、今後の新たな指針ともなっているのではないだろうか。

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