中村倫也と田中圭が翻弄 『美人が婚活してみたら』で見せた、“山下くん”“はるたん”とは異なる顔

 一方で、田中の色気の漏れ具合もハンパじゃない。「俺のこと、好きになっちゃった?」というイイ男にしか許されないセリフをサラリと決める上から目線。女性の扱いもうまく、何人の彼女候補が控えているかわからない。

 結婚に前向きではない矢田部は、婚活中のタカコにとっては敬遠すべき相手なはず。それにもかかわらず、ついつい惹かれてしまうのは女のサガで、さらにその肉食系大人男子を演じるのは田中なのだから、ぐうの音も出ない。爽やかな笑顔の奥に見えるのも、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の“はるたん”のそれとは異なる香り。予告にも映し出されているラブシーンもなかなかで、終始“THE大人な田中圭”を堪能できる。

 また、おもしろいのは園木、矢田部ともに、最初は“ここが残念”という欠点に目が行くところ。顔はいいが、園木はどこか物足りず、矢田部は信じ切ることができない。だが、会う回数を重ねるごとに、それぞれの良さが立ち、どちらも魅力的な男性に見えてくるところが妙にリアル。そして、男性たちの魅力が沁みるに連れて、徐々に浮き彫りになっていくのがタカコの本心。人生に必要なのは、安定か、トキメキか。追い詰められたアラサー女子が、そんな“永遠のテーマ”と向き合っていく。

 “ゆる~い優男”と“色気ムンムンの強気男子”、どちらのイメージも持つ田中と中村だけに、逆の役設定も観てみたい、なんて妄想も膨らむ『美人が婚活してみたら』。『勝手にふるえてろ』の大九明子が監督を手掛け、芸人シソンヌ・じろうが脚本ということもあり、笑いの要素もふんだんに散りばめられた本作だが、美人であっても、そうじゃなくても、チクリと胸に刺さる何かがあるはず。そして、鑑賞後も私だったら……としばらく続く脳内会議。優しすぎる中村倫也か、強気な田中圭か。この贅沢すぎる難問、あなたならどんな選択をするだろうか。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
『美人が婚活してみたら』
全国公開中
監督:大九明子
原作:とあるアラ⼦『美⼈が婚活してみたら』(連載:まんがアプリVコミ、刊⾏:⼩学館クリエイティブ)
脚本:じろう(シソンヌ)
出演:⿊川芽以、臼田あさ美、中村倫也、田中圭、村杉蝉之介、レイザーラモンRG、市川しんぺー、⽮部太郎(カラテカ)、平田敦子、成河
製作:吉本興業
制作:よしもとクリエイティブ・エージェンシー、テレビ朝日
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:KATSU-do
(c)2018吉本興行
公式サイト:http://bijikon.official-movie.com/

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