『ビール・ストリートの恋人たち』監督インタビュー映像 「愛と希望を感じ、楽観的でいてほしい」

 2月22日公開の映画『ビール・ストリートの恋人たち』よりバリー・ジェンキンス監督のインタビュー映像が公開された。

 本作は、『ムーンライト』で第89回アカデミー賞作品賞を受賞したジェンキンス監督最新作で、1970年代のニューヨークに生きる若きカップルの愛の物語。監督自身が映画化を夢見ていたジェイムズ・ボールドウィンの同名小説を基に、愛よりももっと深い“運命”で結ばれた、恋人たちのラブストーリーを描き出す。

 第76回ゴールデン・グローブ賞において、主人公の母親役で熱演を見せたレジーナ・キングが見事助演女優賞を受賞。他、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、全米批評家協会賞、サテライト賞など、現時点で200ノミネート、71受賞を果たし映画史を変えた前作に迫る勢いで映画賞を席巻中。

 そしてついに発表された第91回アカデミー賞ノミネーションにおいて、脚色、助演女優、作曲の3部門に見事ノミネートを果たした。ジェンキンス監督は、「尊敬する偉人たちの仲間入りができて本当に光栄です。その上、ジェイムズ・ボールドウィンの名前と功績を、アカデミーに残せたことに胸がいっぱいです。『ビール・ストリート』ファミリーを代表して、アカデミーに尽きない感謝を。再び私たちを、そしてボールドウィンを認めてくれてありがとう」と喜びをあらわにした。

『ビール・ストリートの恋人たち』インタビュー映像

 実は大学生の頃からボールドウィンのファンだったという監督は、「この原作の2つの表現に感銘を受けたんだ。ティッシュとファニーの間にあるロマンスや愛の描写とアメリカ社会への素直な批判だ」と原作の魅力を分析。さらに、「彼が伝えた多くの事は真実であり、確かなことで、彼が住む世界を正確に描写していた。この小説が書かれた後も現実は何も変わっていない。25年 45年 50年後も彼が書いてきた問題が残っていたら悲しいことだ。だから この問題を再び世の中に訴えかける時が来たんだと思う」と、今もなお、アメリカで続く差別と、ボールドウィンの原作を重ね合わせながら本心を吐露している。

 また、本作で、重要なキャラクターである主人公のカップル、ティッシュとファニーを演じたキキ・レインとステファン・ジェームスについては、「彼らはこの物語の核なので、かなり広範囲に探したよ。2人を演じるエネルギッシュな若い俳優をね」と語り、キャスティングにはじっくり時間をかけていたことが明らかに。その甲斐あってか、「キキとステファンは若手で、特にキキは新人だ。彼らが演技にもたらすエネルギーは新鮮で、彼らの愛が重要であることがうまく伝わっていると思う」と若手キャストならではのフレッシュさと初々しいエネルギーが映画にもプラスに作用したことを絶賛している。

 最後に、この映画を見た観客に「愛と希望を感じ、楽観的でいてほしいと願うよ。愛や家族が苦難を乗り越える助けになるってね。現在、世界中の多くの社会が僕たちを結びつける何かや結束する場所を求めている。きっと、家族と愛の力が嵐を乗り切るのを助けてくれると感じてもらえるといいな」と締めくくった。

■公開情報
『ビール・ストリートの恋人たち』
2019年2月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本:バリー・ジェンキンス
原作:ジェイムズ・ボールドウィン『ビール・ストリートの恋人たち』(早川書房刊)
出演:キキ・レイン、ステファン・ジェームス、レジーナ・キング他
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
(c)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://longride.jp/bealestreet/

関連記事