『世界でいちばん悲しいオーディション』対談

BiSHモモコグミカンパニー×渡辺淳之介が語る、エンターテインメントの世界で生きていくこと

渡辺「誰かに用意された道はない」

――モモコグミカンパニーさんは、映画の序盤で「BiSHに新メンバーが入るかもしれませんね」と言われて、「BiSHに入るのはかわいそう」と言います。あの真意は?

モモコ:私はあの頃はBiSHにいるほうがつらかったんですよ。BiSHは横浜アリーナが待っていた頃なんで(オーディションは2018年3月、横浜アリーナは5月22日)、BiSHが世間からすごく厳しい目で見られてる部分があって。自分を追い詰めてBiSHにいたから、合宿にいるときのほうが「普通の女の子でいても大丈夫だな」みたいな。あの頃は、すごくたくさん頭を使って「どういう風に自分を見せていくか」とか「皆の中で自分は何が特徴なんだろう」とか常に考えてたんで、普通の自分に戻れたっていうのはあります。

――でも、オーディションを受ける子たちの先生にならなきゃいけませんでしたよね。どういうスタンスでいましたか?

モモコ:私は皆に一番近い存在でありたいって思ってて。BiSHではずっと一番教えられる立場できたんで、できない子の気持ちは一番わかるから「ちゃんと教えよう」って。だから対等に向き合おうという姿勢でした。

――モモコグミカンパニーさんが「歌と踊りができれば受かるってものでもないし」って言うじゃないですか。あそこは重要なことを言っているなと思いました。渡辺さんも「何もしなくても残ってる奴いるんですよね」って言っていて、そういう子たちは何が違ったんですか?

渡辺:やっぱり見られる仕事なので、つい目がいくタイプですね。ただ旧BiSで言えば、3、4年で解散してるわけなんですけど、やっぱりそこからサバイブしていくには何もしなくていいわけではなくて、BiSは再結成したし、結局旧BiSの彼女たちは非常に苦しみながらYouTuberを始めて(笑)、紆余曲折あるわけですよ。やっぱり頑張らなきゃいけない部分はあるので、結局誰かに用意された道っていうのはないんですよね。 何もしなかったけど受かった子たちは、そっからはもう本当に頑張らなきゃいけない。

――モモコグミカンパニーさんは、日が行くにつれて自分のチームのメンバーが減っていったわけですが、先生として責任を感じる部分はありましたか?

モモコ:いやー、責任はまったく感じてないです。歌とダンスが課題として用意されて、それを頑張ればいいわけじゃないんですよね。運動会じゃないんで。渡辺さんが残していった子たちは、私も歌とダンスを抜きにしてもわかりました。自分もやっぱり目が行くし、なんか興味が湧く。歌とダンスはできてるのにあんまり興味を持てない子もいたから、そういう子は落ちていったなっていう印象です。

――不思議な映画ですよね、合格者ほど目立たない映画なんですよ。落ちていく人が描かれている。

渡辺:そうなんですよね、実は。

モモコ:本当にそう。

――落ちた子たちが、ふてくされて「渡辺さんは宗教みたい」と言うじゃないですか。あのシーンを渡辺さん見てどう思いましたか?

渡辺:いやー、女の子って面白いなって思いますよね。

――嬉しそうですね(笑)。

渡辺:いやだってさぁ、あの子たちも落とされる前までは「はい! はい! 頑張ります!」とか言ってたのに、いきなり現実に引き戻されるんですよね。まぁ俺はそういうところも可愛いなって思うし。ただ、狡猾じゃないなと思う部分としては、カメラを回されてるんで、そういうやつだってバレちゃったから、もう次のチャンスはないんですよ。そこまで狡猾に考えないと、やっぱりエンターテインメントの世界で生きていくのは難しいだろうなって思います。

(取材・文=宗像明将/写真=池村隆司)

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https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
1月18日(金)

■公開情報
『世界でいちばん悲しいオーディション』
テアトル新宿ほか、全国順次公開
監督・撮影・編集:岩淵弘樹
プロデューサー:渡辺淳之介
撮影:バクシーシ山下、西光祐輔、白鳥勇輝、エリザベス宮地
出演:オーディション候補生、モモコグミカンパニー(BiSH)、パン・ルナリーフィ(BiS)、ペリ・ウブ(BiS)、キャン・GP・マイカ(GANG PARADE)、BiSH、BiS、
GANG PARADE、EMPiRE
配給:松竹メディア事業部
2018年/98分/ヴィスタサイズ
(c)WACK INC.
公式サイト:http://sekakana-movie.jp
公式Twitter:@sekakana_movie
WACK公式サイト:https://www.wack.jp

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