『相棒』元旦SP、及川光博の登場で意外な方向に? 長期シリーズゆえの“ファンサービス”も期待

広がり続ける『相棒』ワールド

 さて、現在のシーズン17だが、その分登場人物の数もすでに膨大になっている。キャラクターが増えれば、より複雑な人物相関図が当然出来上がっていく。相棒ファンであっても、きっと忘れている人物や出来事があったとしてもおかしくない。だが、この拡大し続けてきた相棒ワールドは、本作が長い歴史を通じて作り上げた遺産である。だから放送によっては、かつて右京と関係があった人物が久々に登場することで、意外な方向に世界が広がったり、興味深い共演が観られたりするのも醍醐味の一つだ。例えば今回の元日スペシャルにも、及川光博演じる神戸尊が登場する。神戸は今回に限らず、右京の相棒ではなくなってからも、劇場版を含めて何度か顔を出しており、今後の出演も期待できそうだ。

 回を追うごとに、警察や政治の世界はどんどん複雑になっていくが、それだけ作品はダイナミックになっていく。これは間違いなく『相棒』のような作品だからこそなせる業である。よりリアルに、より圧倒的で、より壮大なストーリーが出来上がる。劇場版ではなくても、放送回によっては劇場版さながらの臨場感とスケールが繰り広げられることがある。毎シーズン『相棒』が始まるたびに「帰ってきた!」と思えるのは、これまでの相棒ワールドが続くことへの期待と、「次はどんなふうに広がっていくのだろう」という新しい展開を求める期待の両方があるからなのかもしれない。

 また、本人が実際に登場しなくても、過去に登場したその人物を彷彿とさせる場面もある。例えば、11月28日放送の第7話。かつて右京の相棒を務めた亀山(寺脇康文)とは何度もいがみ合っていた伊丹刑事(川原和久)が、第7話の事件に登場した亀を見て「特命係の亀」と意味深に呟くシーンがあった。「特命係の亀山!」と伊丹が亀山を冷やかしていた頃を思い出させるようで、懐かしさを感じた。同様に、第9話の終盤でも“サルウィン(架空の国名)にいる誰かの顔”というフレーズが出てきたが、これもまたサルウィンに飛び立った亀山を暗示するものだった。放送から何年経っても、右京や伊丹にとって亀山は今でも“特命係”の一員なのかもしれない。こうした演出もまた、歴史ある本シリーズだからできるファンへのサービスである。

 1月1日放送のスペシャルには、先ほど触れた及川光博に加え、鈴木杏樹、芦名星、榎木孝明、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ら常連のキャストが出演するほか、大地真央、河井青葉、優希美青、西岡德馬らもゲストとして登場。世界的歌姫を巻き込む誘拐事件を、右京らが立ち向かう姿が描かれる。年明け後の風物詩的な放送になりつつある、『相棒』元日スペシャル。じっくりと2時間楽しみたい。

(文=國重駿平)

■放送情報
『相棒 season17』元日スペシャル「ディーバ」(テレビ朝日系)
2019年1月1日(火・祝)午後9:00~午後 11:15
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

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