Sexy Zone 中島健人、王子から“ロミオ”へ華麗なる転身? 『ニセコイ』はキラキラ映画の新機軸に

 今年の春に『ニセコイ』の映画化が発表された際に、主人公・一条楽役に抜擢された中島健人はおなじみの王子様キャラを封印するという「“脱・王子”宣言」を高らかに唱えた。楽は極道一家の跡取り息子でありながらも、真面目で冴えない“もやし”のようなキャラクターに加え、スラップスティック調の劇中で幾度となく大胆な変顔を披露する。たしかにこれまで中島が演じてきたタイプとは正反対な役柄といっても偽りはないだろう。

 先日まで放送されていた日本テレビ系列のドラマ『ドロ刑 –警視庁捜査三課−』でもいわゆる“王子様”キャラを封印して、さとり世代を象徴するかのようなおちゃらけた新米刑事を演じていた中島。そこでは変顔こそなかったものの、毎週スイートな表情を繰り出し遠藤憲一演じる大泥棒や同じ係の同僚刑事たちに仔犬のように甘えてみせる。これもまた「sexy」が接頭語につかないタイプの“脱・王子”キャラの一環だったといえよう。

 そのように、すでに“脱・王子”の下地がある程度整った流れをもってこの『ニセコイ』に臨んでみると、不思議なことに結局“王子様”キャラは覆らなかったという印象を持たずにはいられない。もちろん、序盤こそ変顔を炸裂させて新たな“中島健人像”を確立していたことは言うまでもないのだが、基本的に一途で移ろわない意志の強さであったり、物語の後半の臨海学校のシーンでヒロインを探しにいくために駆け出す姿と、その直後の薄暗い森の中での美しい立ち姿。さらにはクライマックスのステージ上での華麗なステップと、やはり天性には抗えないということが、はっきりと確認できる。 

 もしこの役柄が“脱・王子”であるのだとすれば、従来の“王子キャラ”から仔犬になった3カ月を経て、違うステップへと踏み出したと考えるのが妥当なところか。“王子”以外の形容として相応しいのは、劇中劇で彼が演じたシェイクスピア悲劇の代表的なキャラクターである「ロミオ」しかない。王子的なポジションでありながらも脆さを備え、その一方で愛する女性に正面から向き合う情熱的な一面も持つ青年・ロミオ。もちろん楽の立場を踏まえて劇中劇として登場したわけだが、中島の新たなキャラとしてこれほどしっくりくるものはない。
完全無欠の“王子”から、より情熱的で欠点を恐れない“ロミオ”への華麗なる転身というわけだ。

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