ヒーローからポンコツキャラに転身? 犬飼貴丈と“ベストマッチ”な『けもなれ』上野発

 ドラマ開始直前に公式Instagramに掲載された「さあ、上野を始めようか」というコメントを皮切りに、第2話で登場した上野の部屋にギターがあるのを見て「佐藤太郎の影響?」なんて考えてみたり、第6話で京谷(田中圭)らと料亭で会食をし、京谷が晶の彼氏だとわかった時につぶやいた「力に勝つには、力しかないんだろうか……」といったセリフに、若干の戦兎っぽさを感じたり、第7話で“赤×青”のネクタイを付けているところにビルドを思い浮かべたりと、ストーリーを楽しむと同時に、ビルドとのリンク探しを楽しんでいる視聴者は、私だけではないだろう。

 このように、細かい演出を含めて隙がないのが『獣になれない私たち』というドラマなのだが、隙がないのは、犬飼の演技もまた同じく。犬飼の演技力については『仮面ライダービルド』でのキャラクターの演じ分けですでに証明されているのだが、今作によってその評価をより確かなものにした印象だ。

 『仮面ライダービルド』では、当然ストーリーは主人公である戦兎を中心に動いていた。だが、『けもなれ』ではあくまで脇役というポジションであり、物語とは直接関係のない犬飼の演技が多々見られる点に、2作品の大きな違いがある。晶が忙しく接待する横で、運ばれてきたスイーツに喜んだり、特別チーフクリエイターに任命された晶を羨望の眼差しで見つめてみたり、社長からの理不尽な指示にもテキパキと対応する晶の背中を拝んでみたり……。上野はいつ見ても上野であり、まったく隙がない。そして私たちは、予想できないそれらの行動に、ついつい目が奪われてしまうのだ。

 「仕事へのモチベーションを上げるため」という身勝手な理由で晶のことを好きになる荒技に出た上野だが、意外にもこの作戦は功を奏し、彼の仕事に対する意欲は向上中。第7話では「生まれてこのかた、期待されたことがない」とつぶやいていたが、今後、期待の星として活躍していく上野の姿を見ることはできるのだろうか。とはいえ、上野のポンコツぶりも、だんだんとクセになってきた。頭脳明晰キャラであれ、ポンコツキャラであれ、どんなキャラクターも魅力的に見せてしまう。これも犬飼の持つ、役者としての能力のひとつなのかもしれない。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
『獣になれない私たち』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:新垣結衣、松田龍平、田中圭、黒木華、菊地凛子、田中美佐子、松尾貴史、山内圭哉、犬飼貴丈、伊藤沙莉、近藤公園、一ノ瀬ワタル
脚本:野木亜紀子
演出:水田伸生
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松本京子、大塚英治
協力プロデューサー:鈴木亜希乃
制作会社:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kemonare/

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