脚本・福田靖は福子と萬平の成長をどう描く? “ヒーロー”がいない『まんぷく』の温かさ

 とにかくひたむきで温かみが溢れる。それは福子に限らず、萬平もまたしかりである。加地谷(片岡愛之助)に“人が良すぎる”と言われていたが、萬平は裏切った加地谷のことすら恨んでいないとか。福子によれば、加地谷がいたからこそ、もの作りに集中することができたから、むしろ感謝しているという。温和な性格なのは、第1週から伝わってきたものの、あれほどの拷問を受ける羽目になったにも関わらず加地谷のことを許すとは……。たとえ相手が誰であっても少しでもお世話になったと感じれば素直に感謝する。こういう生き方はそう簡単にできるものではない。でも、当たり前のようにそれをこなしてしまう姿に対して、観ているものはほっこりとした気持ちになってしまうのかもしれない。

 北川悦吏子、岡田惠和、中園ミホ、宮藤官九郎、遊川和彦など、民放のドラマでヒット作を生んできた脚本家が、そのテクニックを朝ドラでも存分に活かしてきた。北川悦吏子なら恋愛要素を比較的多く見せ、宮藤官九郎ならどこかコミカルに感じるシーンを多く描いた。『まんぷく』はインスタントラーメンの開発に至るまでの作品である。福田は今後、どのようなノウハウを朝ドラで発揮して成功物語を描くのだろうか?

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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