森川葵、“深夜ドラマの女王”に君臨 『文学処女』『GIVER』『賭ケグルイ』での輝きを考察

 出演する作品ごとに全く別人のキャラクターになりきることから、“カメレオン女優”として、今や映画やドラマに引っ張りだこの森川葵。今年は既に出演映画が3本公開され、最近は深夜ドラマに立て続けに出演してる。『賭ケグルイ』(MBS/TBS)をはじめ、『やれたかも委員会』(MBS/TBS)『GIVER 復讐の贈与者』(テレビ東京)のほか、現在放送中の『文学処女』(MBS/TBS)と、『このマンガがすごい!』(テレビ東京)の「NHKにようこそ!」など、ハードからセクシー系まで何でもこなす“深夜ドラマの女王”と呼べる活躍ぶりを見せている。

 2010年に「ミスセブンティーン」に選ばれ、モデルとして芸能界デビューを果した森川。これまでに『ごめんね青春!』(TBS系)、『渇き。』『チョコリエッタ』『おんなのこきらい』などに出演し、作品ごとに別の顔を見せるカメレオン女優として話題となった。2015年の『ZIP!』(日本テレビ系)の森川特集で彼女は、役作りについて「見た目から役に入っていくので、(髪型を変えると)全然違う子に見えると思っているので、スイッチが入ります」とコメント。役作りに関して「撮影中は何も考えていないですね。無心です。撮影で役を演じている時は、あれ何してすごしてたんだろう?という感じになっちゃいます」と、憑依系女優としての片鱗を語っていた。

 今年に入り、まず強烈なインパクトを残した深夜ドラマが『賭ケグルイ』での早乙女芽亜里役。とにかく狂気で過激な演技で、ツインテールでかわいい女子高生だが、エキセントリックに高飛車で、目をひん剥いてギャンブルに挑み、腹わたが煮えくり返るほどムカつく態度で相手を罵倒する。主人公である浜辺美波が強さを象徴するためにさらに狂気の演技を見せていてたが、それに圧倒され狂い落ちていく森川の自我の崩壊っぷりは、見事なまでのかませ犬役として一役買っていた。過剰な演技というのは他の役者でもよく見かけるが、最高潮と最低潮を行ったり来たりできる極端な演技は、単純に演技の幅という言葉では片付けられない森川の凄みだろう。

 その後に、23時台ではあるが『明日の君がもっと好き』(テレビ朝日系)で演じた丹野香は、自分のセクシャリティーに悩み、昼は工事現場、夜はガールズバーで働くという、男性的な面と女性的な面の異なる顔を見せる非常に繊細で難しい役だった。志田未来とのキスシーンも話題となったが、「台本の中の香自身も男と女どちらが好きなのかイマイチ分かっていないので、その迷いをそのままゴチャ混ぜにして演じようと思いました。その迷いを表現するのに爪に少し細工をしています」(「テレ朝POST」より)と、かつて髪型でキャラのスイッチを入れていたように、揺れる気持ちを爪で表現し、迷いをそのままキャラにする高度な役作りをしている。

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