柴咲コウと橋本愛の切なく愛おしい愛の形 『dele』第5話は“生”を感じさせる回に

 8月24日に『dele』(テレビ朝日系)第5話が放送された。このドラマは、死後に不都合なデジタル記録「デジタル遺品」をテーマに、1話完結型で多彩な人間ドラマを描いた作品だ。クライアントが遺したデジタル遺品からは、故人の人生や隠された真実が浮かび上がってくる。第5話は、主人公・坂上圭司(山田孝之)と元恋人・沢渡明奈(柴咲コウ)、真柴祐太郎(菅田将暉)が向き合うことになるクライアントの人生が物語の主軸となった。

 今までの話とは違い、圭司や祐太郎の表情がクローズアップされることは少ない。彼らを物語の中心としない演出によって、「デジタル遺品を介さなければ、クライアントを取り巻く人たちと彼らが出会うことはない」ということに気づかされる。彼らはあくまで職務を全うしているだけなのだ。

 また今回、故人にも焦点は当てられない。第5話の主人公は、圭司の元恋人・明奈含め、今を生きる人たちだ。彼らがそれぞれに抱く愛の形が、切なくも愛おしかった。

 「dele.LIFE」にデータ削除を依頼していた天利聡史(朝比奈秀樹)のパソコンが、72時間以上操作されていないことが分かる。祐太郎は死亡確認に行った先で、聡史の幼なじみ・楠瀬百合子(橋本愛)と出会い、クライアントが3日前に事故に遭い、意識不明だということを知る。

 第5話は、百合子と祐太郎の距離感と圭司と明奈のもどかしい距離感との対比が印象的だった。百合子は「聡史の婚約者」だと名乗り、聡史との思い出を語る。橋本の明るく“振る舞う”その姿に違和感を持つ視聴者もいたかもしれないが、彼女が“婚約者ではない”という事実で納得がいく。フラれたら、幼なじみにも親友にも戻れなくなることを恐れ、百合子は聡史に想いを伝えられなかった。百合子が聡史に婚約を報告したら、「おめでとう」と言われてしまった。聡史にとって自分が何なのか、それを知りたい百合子は嘘をつき、データ削除依頼の撤回を求めた。彼の意識が戻ることを誰よりも願っているが、想いが届かないもどかしさは抱えたままである。

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