沢村一樹、表と裏の顔のギャップがありすぎる 『絶対零度』深まる井沢の闇

 『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)は、2010年にスタートしたSeason1から続くSeason3として、シリーズものの枠で放送されているが、“未然犯罪捜査チーム=ミハン”のミハンシステムにリストアップされた人物を中心に捜査を展開していく、基本1話完結のドラマである。しかし、『絶対零度』の醍醐味は、未だ多くのベールに包まれているメインキャラたちの過去や素性である。第1話で明かされた桜木泉(上戸彩)の焼死を最大の謎に、ストーリーは第4話まで進んできたが、話数を重ねるごとに色濃いものになっているのが、Season3の主人公である井沢範人(沢村一樹)の真っ黒な闇の部分である。

 第4話で危険人物としてリストアップされるのは、佐伯卓郎(小野了)。佐伯は、友人である岡本の娘・由梨(佐藤玲)を殺人者の娘にはしたくないと、過去の事件を隠し通すために、殺人を犯そうとする。しかし、SIT(特殊事件捜査係)として突入してきた井沢に抑えられ、佐伯は事件の内情を話し始める。ここで井沢とリンクしてくるのが、娘という存在。友人の娘ではあるが、佐伯は陰ながら我が子のように由梨を見守っていた。第3話で、井沢は自身の誕生日に、愛する娘と妻を殺害されていた悲惨な過去が明らかになったが、自供する佐伯を見つめる表情はどこか思い詰めたようにも見える。

 殺人者の娘にはしないと誓いながらも、自身が殺人者になろうとした佐伯に「人を殺そうとした。その罪の重さは決して消えることはない。その罪を背負って生きていかなければいけない。あなたには愛情を注ぐべき人がここにいるんだから」と諭す井沢の言葉には、自戒の念が込められているようにも思える。


 一見、ひょうひょうとした態度の井沢だが、スイッチが入ると不穏な危うい雰囲気を放つ。佐伯が立石へ銃を構える金庫室に突入した井沢は、躊躇なく立石に銃口を突きつけ、「立石くん、悪いんだけど休んでてもらえないかな」と、ボンッと腹にパンチを食らわせ一撃でノックアウト。佐伯の「警察の方ですか?」という質問に、「そう見えます?」と呆れた様子で返答する辺りは、あくまでミハンの1人として、任務を遂行したいという表れれにも捉えられる。

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