ドラマ『この世界の片隅に』は作り手の本気度が伝わる圧巻の出来栄え アニメ映画版と明確な違いも

 他にもすずの妹を演じる久保田紗友、呉の北條家のご近所さんを演じる土村芳はともに『べっぴんさん』で、同じく伊藤沙莉も『ひよっこ』の東京編に登場。『おしん』で姉役を演じた仙道敦子がすずの母親・キセノ役で出演し、小姑には『カーネーション』の尾野真千子、現代パートには『瞳』の榮倉奈々と、まさに徹底して狙いに行っているあたりは実に興味深い。

 そして何より、極めて精巧なセットで再現された昭和の街並みと、いかにも土井裕泰演出らしい選りすぐられたロケーションが巧く交わっている点も、“朝ドラ”的な空気を感じる部分だろう。強いこだわりと熱量の高さが感じられる本作は、お世辞抜きに完璧だったアニメ映画版に匹敵する、期待以上のドラマに仕上がっていくのではないだろうか。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
日曜劇場『この世界の片隅に』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊、『漫画アクション』連載)
脚本:岡田惠和
音楽:久石譲
演出:土井裕泰ほか
プロデュース:佐野亜裕美
出演:松本穂香、松坂桃李、村上虹郎、伊藤沙莉、土村芳、ドロンズ石本、久保田紗友、新井美羽、稲垣来泉、二階堂ふみ、榮倉奈々、古舘祐太郎、尾野真千子、木野花、塩見三省、田口トモロヲ、仙道敦子、伊藤蘭、宮本信子
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/

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