失聴を受け入れた鈴愛のひたむきさに涙 『半分、青い。』第1週と第2週は合わせ鏡のように

 NHK連続テレビ小説『半分、青い。』第2週「聞きたい!」では、鈴愛(矢崎由紗)の左耳が完全に失聴してしまう。朝ドラと同じタイミングで新キャストに生まれ変わった『あさイチ』、昼の朝ドラ再放送と地続きとなった『ごごナマ』での“朝ドラ受け”でも触れられていた通りに、視聴者の涙を誘った週だった。

 視聴者が涙をしたのは、ただ悲しいからではない。鈴愛がただまっすぐに明日を見ているからだ。彼女の前向きな考え方や明るさは、晴(松雪泰子)と宇太郎(滝藤賢一)をはじめとした楡野家の家族はもちろん、幼なじみの律(高村佳偉人)の萩尾家までをも巻き込んでいく。「しっかりして、笑顔でいよう」「受け入れてそれと一緒に生きる。本人も、親も、家族も」。律の母親・和子(原田知世)が晴を励ますこのセリフは、1971年7月7日、同じ日に子供を生んだ、楡野家と萩尾家の家族ぐるみの関係性を表した言葉でもある。

 鈴愛にとって律は、笛を吹けば助けに来てくれる、英雄のマグマ大使。泣き虫のお母ちゃんを泣かせまいと、鈴愛は律の見守る河原で悲しみを爆発させて泣くのだった。

 鈴愛が晴に泣き顔を見せないのも、学校で自分の名前をバカにされたのを黙っているのも、お母ちゃんに嫌な思いをさせないため。その愛情の裏返しは、すぐ娘を怒鳴りつけてしまう晴にも言えることだ。何かとあれば反発し合っていた2人は、磁石がクルッと回転するように、耳の失聴をきっかけに再び強く結びついていく。


 悲しみと仲良く、これから先を歩いていく。そんな鈴愛の決意表明にも取れる象徴が、律とともに作ったゾートロープ。律のレコードプレイヤーを動力に、16人の小人がコトコト踊って回るのぞき絵は、彼女の中にあるキラキラと輝く左側の世界。生き物としては弱くなったけど、本能が感じるままに、世界を楽しもう。鈴愛の力強く、たくましい気立てに、皆が笑みを見せ、涙をこぼす。「鈴愛の左側楽しいね」。そう呼びかける晴の心に、鈴愛への不安は消え去っていた。宇太郎と祖父・仙吉(中村雅俊)に挟まれ川の字に寝ていた鈴愛。今度は、仲良くお母ちゃんと夢の話をしながらギューっとする鈴愛と晴の姿には、心を掴まれる。

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