山崎賢人が、見つけたものと失ったもの 『トドメの接吻』で繰り返した門脇麦への別れのキス

 「僕には社長のイスより大切なものがある」

 旺太郎(山崎賢人)を潰すべく、宰子(門脇麦)を拉致した尊氏(新田真剣佑)だが、旺太郎の方が1枚上手であった。尊氏はおろか、視聴者である私たちも知らぬ間に、旺太郎と宰子は“タイムリープ”し、同じ時を繰り返していたのだ。その背後に、逮捕されていたはずの和馬(志尊淳)が再登場し、じりじり忍び寄る。

 3月4日に放送された『トドメの接吻』(日本テレビ系)第9話は、「教会」という愛を誓い合う場で、それぞれの想いが交錯する。

 前回に引き続き、旺太郎と尊氏の強烈なにらみ合いでの幕開け。やはり前半は旺太郎と尊氏の攻防が見ものであった。尊氏の叔父・新井(小市慢太郎)は「役員に根回ししておけば、美尊と旺太郎が結婚しても、社長のイスは死守できる」と助言するが、尊氏は「あなたは何も分かってない」と返し、そして冒頭の言葉を言い放つ。

 一時は、旺太郎と同じく自身の欲望のため、成り上がるために暗躍していたかに見えた尊氏だが、彼の美尊(新木優子)へのひたむきな想いには胸を打たれる。旺太郎に敗れた彼の、去り際の叫びは悲痛なものであった。公開中の『不能犯』で演じる、不器用で一生懸命な新人刑事・百々瀬というキャラクターとは真逆のパフォーマンスを披露している新田だが、このようなニヒルな役どころがじつによくハマる。微笑をたたえた穏やかさから激しい怒りの感情への切り替えの上手さ、そして弱冠21歳にしてこの貫禄。本作でさらなる飛躍を遂げたと言えるのではないだろうか。

関連記事